平24(ワ)29608号・平25(ワ)1252号 損害賠償請求事件、違約金反訴請求事件

裁判年月日  平成25年 9月17日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)29608号・平25(ワ)1252号
事件名  損害賠償請求事件、違約金反訴請求事件
裁判結果  本訴認容、反訴請求棄却  文献番号  2013WLJPCA09178002

要旨
◆被告らから土地を購入する売買契約を締結した原告が、宅地建物取引業法37条の2第1項又は特定商取引に関する法律9条1項に基づく解除(クーリングオフ等)を主張して、被告らに対し、手付金の返還を求めた(本訴)ところ、被告らが、売買契約の存続を前提として、原告の債務不履行による解除に基づき、原告に対し、違約金の支払を求めた(反訴)事案において、本件契約の締結場所は被告らの営業所ではなく、かつ、原告の自宅で契約の交渉がされたものとも認められないから、原告による解除はいずれも有効であるとして、本訴請求を認容する一方、反訴請求を棄却した事例

参照条文
宅地建物取引業法37条の2第1項
特定商取引に関する法律9条1項
民法545条
民法555条
民法557条

裁判年月日  平成25年 9月17日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)29608号・平25(ワ)1252号
事件名  損害賠償請求事件、違約金反訴請求事件
裁判結果  本訴認容、反訴請求棄却  文献番号  2013WLJPCA09178002

平成24年(ワ)第29608号損害賠償請求事件
平成25年(ワ)第1252号違約金反訴請求事件

東京都世田谷区〈以下省略〉
原告(反訴被告) X
同訴訟代理人弁護士 大原誠三郎
同訴訟代理人弁護士 井原智生
東京都足立区〈以下省略〉
被告(反訴原告) インターナショナル岩田企画株式会社
同代表者代表取締役 A
東京都足立区〈以下省略〉
被告(反訴原告) 宏鵬産業株式会社
同代表者代表取締役 B
被告(反訴原告)ら訴訟代理人弁護士 関昌央

 

 

主文

1  被告らは,原告に対し,各自1000万円及びこれに対する平成24年9月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  反訴請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は本訴反訴を通じ,被告(反訴原告)らの負担とする。
4  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  本訴請求
主文同旨
2  反訴請求
(1)  反訴被告は,反訴原告宏鵬産業株式会社に対し,344万円及びこれに対する平成24年11月7日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(2)  反訴被告は,反訴原告インターナショナル岩田企画株式会社に対し,56万円及びこれに対する平成24年11月7日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告(反訴被告・以下「原告」という。)が,被告(反訴原告・以下「被告」という。)らに対し,売買契約の解除(クーリングオフ等)に基づく手付金の返還を求める事案であり,被告らは,原告に対し,売買契約の存続を前提として,原告の債務不履行解除に基づく違約金の支払を求めている。
1  前提事実(争いがない事実以外は,各項掲記の証拠等により認める。)
(1)  被告インターナショナル岩田企画株式会社(被告岩田企画・代表者A)は,不動産の売買,仲介,管理並びに賃貸などを業とする会社であり,かつ,宅地建物取引業者である。
(2)  被告宏鵬産業株式会社(被告宏鵬産業・代表者B)は,不動産の賃貸などを業とする会社である。被告宏鵬産業は,宅地建物取引業者の免許は受けていない。
(3)  被告岩田企画及び被告宏鵬産業は,別紙物件目録記載の土地(本件土地)を共有(被告岩田企画100分の14:被告宏鵬産業100分の86)していた(乙24,25)。
(4)  原告は,被告らから,平成24年8月28日,本件土地を1億4000万円で買った(本件契約・甲1)。本件契約を締結した場所は,建築請負契約の締結を予定していた三菱地所ホーム株式会社(三菱地所ホーム)の本店事務所であった。本件契約の際,被告宏鵬産業は立ち会わず,被告岩田企画が被告宏鵬産業の代理人兼売主として本件契約を締結した。
(5)  本件契約の締結の際,原告は,被告岩田企画に対し,契約書の印紙代として4万円,手付金として1000万円を支払った(甲3)。
(6)  原告は,被告岩田企画に対し,平成24年9月9日到達の書面により,宅地建物取引業法(宅建業法・昭和27年法律176号)37条の2第1項に基づき,本件契約を解除する旨の意思表示をした(甲4,5)。
(7)  原告は,被告宏鵬産業に対し,平成24年9月15日到達の書面により,宅建業法37条の2第1項または特定商取引に関する法律(特定商取引法・昭和51年法律57号)9条1項に基づき,本件契約を解除する旨の意思表示をした(甲6,7)。
2  原告の主張
(1)  本件契約は被告らの連名であるが,被告宏鵬産業は,本件契約に一度も立ち会うことなく,全て被告岩田企画に任せていたものであるから,解除不可分の原則により,被告宏鵬産業に対しても本件契約の解除の効果が生じている。
(2)  原告が,被告らに対し,クーリング・オフ制度に基づき,上記解除をした結果,被告らは,原告に対し,手付金1000万円(不可分債務)の返還義務を負っている。
(3)  広告は,取引態様の明示義務違反(宅建業法34条1項)である。原告は,自宅等において,被告らから本件契約の説明を受けたことはない。被告らは,本件契約に先立ち,「物件状況確認書」を示して,本件土地の状況を原告に告知すべき義務があるにも拘わらずこれを怠っている。被告岩田企画の社員であるCは,本件契約後,原告に対し,「物件状況確認書」を取り出して交付している。その中で,地盤が軟弱であることが判明していることから,信義則上,クーリング・オフの適用がないとの主張は許されない。
(4)  特定商取引法上は,すべての商品と役務についてクーリング・オフの適用がある。宅建業者が不動産売買を行う場合には宅建業法のクーリング・オフの適用があり,宅建業者以外の者が不動産売買を行う場合には特定商取引法26条の適用除外に該当しないので,同法のクーリング・オフの適用がある。
被告宏鵬産業は,被告岩田企画と共同で本件土地の分筆前の土地(分筆前土地)を購入し,分筆して本件土地を転売しているものであるから,特定商取引法の事業者に該当するし,被告宏鵬産業は,営業所以外の場所において,本件契約を締結し,かつ,クーリング・オフの告知義務に違反しているのであるから,原告は,特定商取引法9条1項本文により,本件契約を解除できる。クーリング・オフは,契約締結までの交渉経緯により左右されない。原告は,被告らからクーリング・オフについての法定書面の交付は受けていないから,被告岩田企画については宅建業法に基づき,被告宏鵬産業については特定商取引法に基づき,いずれもクーリング・オフにより本件契約の解除ができる。
(5)  被告宏鵬産業は,宅建業法の免許を受けずに宅地建物取引業を営み,宅建業法12条1項に違反し,被告岩田企画は,宅建業法13条1項に違反し,無免許営業行為及び名義貸行為をしているのであるから,公序良俗違反として本件契約は無効である。
(6)  原告は,Cから本件土地に関する資料の送付を受けたことは事実であるが,メールのやり取りはCからの勧誘とそれに対する応対にすぎず,売買契約に関する説明を受けたものではない。宅建業法施行規則16条の5の2号は対面にて口頭で説明を受けることを指し,メールで売買契約書と重要事項説明書の案文を送付すれば足りるものではない。本件では,メールに売買契約書10条記載の告知書の案文の添付もない不完全なものであった。
原告が,Cに対し,平成24年8月22日に送付したメールは,売買契約を締結するか否かを決断する前のものであり,かつ,重要事項説明の段取りを進めることを依頼したものであるので,申込みの確定的意思表示ではない。原告は,自宅でCから売買契約に関する説明を受けたことはない。
被告らは,本件契約に先立ち,物件状況確認書を原告に提示し,その状況を告知すべき義務(契約書10条)あったにも拘わらず,これを怠った上(宅建業法47条1号,消費者契約法4条2項),Cは,原告に対し,本件契約締結後,物件状況確認書を交付したに過ぎない。原告は,本件契約の締結後,地盤調査をした結果,超軟弱地盤であることが判明したため,本件土地を購入することを止め,クーリング・オフの通知をしたものである。
更に,原告が,被告らに対し,本件契約の解除通知をした時点において,本件土地の分筆登記はなされておらず,平成24年10月12日に分筆登記の申請がなされている。原告は,代理人を介して,被告らに対し,本件契約の解除通知の際,本件土地を購入しないことを電話連絡したが,被告らは,原告からの手付金返還請求に対抗するための材料として分筆登記をしたものである。
被告宏鵬産業は,被告岩田企画と一緒に本件土地を購入し,2区画に分割した上,1区画を原告に転売したものであるから,宅地の売買を業として行ったものに他ならず,商品の販売を行う事業者に該当している。被告宏鵬産業は,宅地建物取引業者に該当しないが,特定商取引法のクーリング・オフが適用される。
被告宏鵬産業は,宅地建物取引業者でないにも拘わらず,宅地建物取引業を営んでいるものであるので宅建業法12条1項に違反している。乙1号証には「売主」と記載されている。その持分に照らして,被告宏鵬産業が売主であることは明白である。被告岩田企画の名義で被告宏鵬産業に宅地建物取引業を営ませていたことは明白である(宅建業法13条1項違反)。
3  被告らの主張
(1)  本件契約に関して,被告らとの間で,クーリング・オフ制度が適用されることは争う。
(2)  被告岩田企画は,平成23年5月頃から分筆前土地の売却を計画し,被告宏鵬産業を代理して,分筆前土地の売却を担当することになった。
(3)  原告のCに対するメールは,原告が自宅において作成し,自宅からCに送信したものであって,原告は,事務所等において買い受けの申込みをしているので,クーリング・オフ制度は適用されない。
また,被告宏鵬産業は,宅建業者ではないので,クーリング・オフ制度の適用はない。被告宏鵬産業は,宅地の販売を反復継続して行ったことはなく特定商取引法の適用はない。仮に,特定商取引法の宅地の販売業者に該当しても,同法26条1項8号ロによって,宅建業法2条3号に規定する同法2条2号に規定する商品には同法9条の適用はないとされている。
クーリング・オフ制度は,自由な意思形成が阻害され,買主の購入意思が不安定のままに売買契約を締結した場合に,消費者保護の観点から一方的に申込みの撤回を認める制度である。したがって,本件契約の締結の経緯に照らすと,本件契約にクーリング・オフの適用の余地はない。
仮に,宅建業法37条の2第1項前段の括弧書きの適用がないとしても,原告の本件契約の解除は信義則違反ないし権利濫用として認められない。本件契約の締結の経緯に照らすと,原告が,被告岩田企画から強引な勧誘を受けたりしたなどの事情はないこと,本件契約の締結場所は原告が選定し,建築請負契約を締結しようとしていた三菱地所ホームの事務所であること,被告らは原告の要望に応えて分筆前土地の区割案を作成したりしていた等に照らして,本件契約の解除は被告らの信頼を裏切るものである。
(4)  被告宏鵬産業が本件契約の売主であることは原告に説明しているし,被告宏鵬産業が宅建業者であるか否かは,通常不動産の購入にあたり考慮すべき重要な要素ではない。また,被告宏鵬産業は,本件契約を業として行ったものではないので,宅建業法12条1項に違反しない。被告岩田企画は,被告宏鵬産業に対し,宅地建物取引業を営ませたとの事実はないので,宅建業法13条1項に違反しない。
(5)  反訴内容
ア 本件契約には,下記のとおり,違約金の約定がある。
(ア) 売主又は買主が本件契約に定める債務を履行しないとき,その相手方は,自己の債務の履行を提供し,かつ,相当の期間を定めて催告した上,本件契約を解除できる。
(イ) 上記解除に伴う損害賠償(違約金)は1400万円とする。
(ウ) 買主の債務不履行により売主が解除したときは,売主は,受領済の金員から違約金を控除した残額を速やかに無利息で買主に返還する。この場合において,違約金の額が支払済の金員を上回るときは,買主は,売主にその差額を支払う。
イ 本件契約には,下記のとおり,約定(本件約定)がある。
(ア) 売主は,本件土地の引渡しまでに,分筆前土地から本件土地を売主の責任と負担において分筆登記し,買主に本件土地を引き渡す。
(イ) 本件土地と敷地南西角に,西側隣地より万年塀の一部が越境しており,本件土地の引渡しまでに越境部分を売主の負担において解消する。
(ウ) 売主の負担において,本件土地引渡しまでに本件土地内の植栽の移植を行うことを買主は承諾する。
ウ 被告らは,本件約定の分筆登記手続を行い,原告に売却する本件土地を確定させた。また,被告らは,隣地から本件土地に越境している万年塀の撤去及び本件土地内の植栽の移植を完了した。
エ 被告らは,原告に対し,平成24年10月27日到達の書面により,同年11月6日,みずほ銀行外苑前支店において,本件契約の残代金と引き換えに本件土地の所有権移転登記及び引渡し等を行うこと,差し支えがある場合には日程調整するので連絡するように告知し,連絡がない場合には同日の経過を以て本件契約を解除する旨の意思表示をしたが,原告は,上記支店に現れなかったので,同日の経過により本件契約は解除された。
オ 原告は,被告らに対し,違約金残額として,400万円の支払義務がある。
4  争点
双方の主張を踏まえると,本件における主要な争点は,本件契約に関して,原告の被告らに対する宅建業法37条の2第1項または特定商取引法9条1項に基づく解除は有効か否かである。
第3  争点に対する判断
1  証拠(甲1ないし10,乙1ないし27,証人Cの証言及び原告本人尋問の結果)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)  被告岩田企画は,被告宏鵬産業のB社長に分筆前土地の購入を勧め,被告岩田企画と被告宏鵬産業は分筆前土地を共同購入したが,その後,Bが分筆前土地に自宅を建設することを止めたので,分筆前土地を売却することにし,平成24年4月以降,分筆前土地466.00平方メートル(公簿)を3億3000万円で売り出していた。その際,広告(乙1)には,分筆前土地の持分を100分の14しか有していない被告岩田企画を売主と記載するなど不適切な記載があった。
(2)  原告は,同年6月頃,原告は,広告を見て,被告岩田企画に対し,分筆前土地の購入を考えていると電話連絡してきた。ところが,その後,原告は,被告岩田企画に対し,知人との共同購入を考えていたが,知人が購入を見送ったため,分筆前土地を分筆した上,その一部を購入したいと伝えてきた。
そのため,原告と被告岩田企画の担当者Cは,同年7月1日,面談することになった。
(3)  Cは,面談の際,原告から名刺を渡され,そして,資料などは原告の自宅のメールアドレスに送って欲しいと言われた(乙2)。また,被告らは,分筆前土地に建築条件を付けずに売却することにしていたところ,原告は,分筆前土地の一部を購入した後,三菱地所ホームに建物の建築を依頼することにしていた(乙14)。
なお,原告は,上記メールアドレスを仕事先,図書館,ホテルなどの海外を含めて多くの場所で使用していた(被告らは,原告のCに対するメールは,原告が自宅において作成し,自宅からCに送信したものであると主張しているが,そのような事実の証明はなく,採用できない。)。
(4)  被告らは,原告の上記申し出を検討した結果,分筆前土地を二筆に分筆した上,その一筆(本件土地)を原告に売却することにし,区割プラン(乙3の1及び2,乙4の1及び2,乙5)を提示し,三菱地所ホームの担当者Dとの間で本件土地の購入後の建物の建築についての打ち合わせを進め,被告岩田企画もその建築プランの作成に協力した(乙6,7,15ないし17)。
(5)  同年8月2日,原告,D及びCは,本件土地に集まり,ライフラインの確認,樹木,境界の確認,区割の確認などを行った。
(6)  同月上旬頃,原告が購入する地積は218.35平方メートルとほぼ確定し,被告らは,その代金をいくらとするかを検討していたところ,同月10日,Cは,Dから,分筆前土地を分割する場合に必要な工事費用の見積書を受領(乙18)したので,これを踏まえて,同月17日,原告に対し,本件土地218.35平方メートルの売買代金を1億4000万円としたいと打診したところ(乙8),同月19日,原告は,Cに対し,本件土地の代金を1億4000万円とすることを概ね了解し,日程を調整するように伝えた(乙9)。
(7)  同月20日,Cは,原告に対し,契約書及び重要事項説明書の案をメールで送付し,契約締結を同月28日に三菱地所ホームの事務所ですること,本件土地の引渡日は,同年9月中旬頃に原告指定の金融機関で行うことを提案したところ,原告は,Cに対し,契約は8月28日に三菱地所ホームの日本橋の事務所で行うこと,引渡場所は9月中旬頃にみずほ銀行外苑前支店とすることを了解するメールをした(乙11)。
Cは,原告に対し,契約書及び重要事項説明書の案,協定書の案,分筆予定図を送付した上,よく検討して欲しいこと,契約日の手付金を500万円から1000万円で検討して欲しいこと,収入印紙の半額の4万円を負担して欲しいことをメールで伝えた(乙12)。
(8)  原告は,同月22日,Cに対し,書類を見て問題ないこと,手付金を1000万円とすること,印紙は被告らの方で準備して欲しいことを回答した(乙13)。
(9)  本件契約の締結の際,Cは,「物件状況確認書」(甲8)を示して,本件土地の状況を説明しておらず,本件契約後,原告に対し,同書面を取り出して交付している。また,本件契約の締結の際,原告は,被告らから,クーリング・オフについての法定書面を交付されなかった。
この点,Cは,本件契約の際に「物件状況確認書」の説明をしているかのような証言をしているが,被告らが周辺環境の状況を知らないことや地盤沈下,軟弱を調査していないことなどは,本件土地を購入し,建物の建築を予定している原告が極めて関心のある事項であって,Cが上記説明をしたならば,原告との間で本件土地の状況のやり取りがあってしかるべきであるにもかかわらず,何らその形跡がないことは極めて不自然であり,Cの上記証言は信用できない。したがって,原告の供述するように本件契約の締結後にCから原告に「物件状況確認書」が交付されたものと認める。その後,原告は,本件土地に建物が建てられるかを調査した結果,地盤が軟弱であることが判明した(甲9)。
2  以上の事実が認められる。とすると,本件契約の締結場所は,被告らの営業所ではなく,かつ,原告の自宅で本件契約の交渉がなされたものとは認められない。したがって,原告の被告岩田企画に対する宅建業法37条の2第1項に基づく本件契約の解除は有効である。また,原告の被告宏鵬産業に対する特定商取引法9条1項に基づく本件契約の解除は有効である。したがって,被告らは,原告に対し,手付金1000万円(不可分債務)の返還義務を負っている。
この点,被告宏鵬産業は,宅地の販売を反復継続して行ったことはなく特定商取引法の適用はないと主張しているが,分筆前土地を購入し,本件土地を原告に転売しているものであるので,特定商取引法の販売業者に該当し,特定商取引法の適用がある。その余の被告宏鵬産業の主張も失当であるので,被告宏鵬産業の上記主張は採用できない。
なお,本件契約の締結の経緯は,クーリング・オフの適用の有無と無関係であるので,被告らの上記主張は採用されない。また,原告の本件契約の解除は信義則違反ではないし,権利濫用にもならない。
以上のとおり,原告による本件契約の解除は有効であるので,原告の本件契約の解除の無効を前提とする被告らの違約金に関する主張はいずれも採用できない。
3  結論
よって,原告の請求は理由があり,被告らの主張はいずれも理由がない。
(裁判官 杉本宏之)

 

〈以下省略〉

 

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