平14(ワ)3366号・平14(ワ)20060号・平21(ワ)17898号 債務不存在確認等請求事件、立替金請求反訴事件、承継参加申立事件

裁判年月日  平成21年10月26日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平14(ワ)3366号・平14(ワ)20060号・平21(ワ)17898号
事件名  債務不存在確認等請求事件、立替金請求反訴事件、承継参加申立事件
裁判結果  本訴主位的請求却下、本訴予備的請求棄却、反訴一部認容  文献番号  2009WLJPCA10268012

要旨
◆いわゆる「モニター商法」の会員として訴外会社(後に破産)から呉服等の商品を購入して割賦金を信販会社である被告を利用して支払った原告らからの被告に対する立替金債務についての債務不存在確認(主位的)及び取立禁止(予備的)の各本訴請求並びに被告の立替金請求の反訴請求の事案において、原告らの被告に対する本件売買契約の錯誤無効を認めた上で抗弁権としてそれを被告に主張する際に商品を受け取っていない原告らには全面的な主張を認めて反訴請求を棄却したが、商品を受け取っている原告らには過失相殺による利益衡量から4割を限度として被告の会社分割により原告らに対する立替金請求権を承継取得した承継参加人の反訴による立替金請求を一部認容した事例
◆原告らの本訴請求のうち債務不存在確認の主位的請求は被告の反訴に照らして確認の利益がないとして却下し、予備的請求の取立禁止を棄却した事例
◆承継参加による被告の訴訟脱退との関係で反訴につき判断した事例

出典
消費者法ニュース 82号179頁

評釈
瀬戸和宏・消費者法ニュース 82号171頁
瀬戸和宏・現代消費者法 7号134頁

参照条文
割賦販売法30条の4(平12法120改正前)
民法90条
民法93条但書
民法95条
民法96条2項
民法418条
民法709条
民法722条2項

裁判年月日  平成21年10月26日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平14(ワ)3366号・平14(ワ)20060号・平21(ワ)17898号
事件名  債務不存在確認等請求事件、立替金請求反訴事件、承継参加申立事件
裁判結果  本訴主位的請求却下、本訴予備的請求棄却、反訴一部認容  文献番号  2009WLJPCA10268012

平成14年(ワ)第3366号 債務不存在確認等請求事件
平成14年(ワ)第20060号 立替金請求反訴事件
平成21年(ワ)第17898号 承継参加申立事件

東京都葛飾区〈以下省略〉
原告(反訴被告) X1(以下「原告X1」という。原告番号Acde70)
東京都江東区〈以下省略〉
原告(反訴被告) X2(以下「原告X2」という。原告番号Acde134)
埼玉県川口市〈以下省略〉
原告(反訴被告) X3(以下「原告X3」という。原告番号Acde291)
東京都練馬区〈以下省略〉
原告(反訴被告) X4(以下「原告X4」という。原告番号Acde736)
東京都東村山市〈以下省略〉
原告(反訴被告) X5(以下「原告X5」という。原告番号Acde1134)
東京都杉並区〈以下省略〉
原告(反訴被告) X6(以下「原告X6」という。原告番号Acde1258)
上記6名訴訟代理人弁護士 別紙原告代理人目録記載のとおり
東京都中野区〈以下省略〉
原告(反訴被告) X7(以下「原告X7」という。原告番号Acde433)
東京都港区〈以下省略〉
被告(反訴原告) 新生フィナンシャル株式会社
(旧商号・GEコンシューマー・ファイナンス株式会社。以下「被告」という。)
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 矢吹公敏
同 高木加奈子
同 渡辺裕哉
同訴訟復代理人弁護士 加藤彰仁
同 八木哲彦
同 西出恭子
東京都港区〈以下省略〉
被告承継参加人 新生カード株式会社
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 矢吹公敏
同 高木加奈子
同 渡辺裕哉
同 加藤彰仁
同 八木哲彦
同 西出恭子

 

 

主文

1  原告らの債務不存在確認を求める本訴主位的請求に係る訴えをいずれも却下する。
2  原告らの取立禁止を求める本訴予備的請求をいずれも棄却する。
3  原告X1は,被告承継参加人に対し,27万7300円及びこれに対する平成14年9月18日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
4  原告X5は,被告承継参加人に対し,68万5315円及びこれに対する平成14年9月18日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
5  原告X6は,被告承継参加人に対し,13万3550円及びこれに対する平成14年9月18日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
6  原告X7は,被告承継参加人に対し,57万4500円及びこれに対する平成14年9月18日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
7  被告の原告X7に対する反訴請求並びに被告承継参加人のその余の請求をいずれも棄却する。
8  訴訟費用は,本訴,反訴及び承継参加申立事件を通じ,原告X2,原告X3及び原告X4に係る費用はすべて被告及び被告承継参加人の負担とし,原告X1,原告X5,原告X6及び原告X7に係る費用は,各原告らに生じた費用の10分の3並びに被告及び被告承継参加人に生じた費用の50分の3を各原告らの負担とし,その余はいずれも被告及び被告承継参加人の負担とする。
9  この判決は,第3ないし6項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  本訴
(1)  主位的請求
原告らと被告との間の,別紙契約内容等一覧表の各原告に対応する同表「契約年月日」欄記載の年月日ころに成立した同表「商品」欄記載の商品の商品代金に関する各立替払契約に係る原告らの被告に対する同表「請求額」欄記載の各債務の存在しないことを確認する。
(2)  予備的請求
被告は,原告らと被告との間の,別紙契約内容等一覧表の各原告に対応する同表「契約年月日」欄記載の年月日ころに成立した同表「商品」欄記載の商品の商品代金に関する各立替払契約に係る原告らの被告に対する同表「請求額」欄記載の各金額につき,取立てをしてはならない。
2  反訴
原告らは,被告に対し,各自,別紙契約内容等一覧表の原告らに対応する同表「請求額」欄記載の各金員及びこれらに対する平成14年9月18日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
3  承継参加申立事件
原告らは,被告承継参加人に対し,各自,別紙契約内容等一覧表の原告らに対応する同表「請求額」欄記載の各金員及びこれらに対する平成14年9月18日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
原告らは,株式会社愛染苑山久(以下「山久」という。)から,呉服等の商品のモニター会員になれば報酬を支払うなどと告げられて,山久から商品を購入した際,その代金の支払のために信販会社である被告との間で立替払契約を締結した。本訴事件は,原告らが,被告からの未払立替金の支払請求に関し,被告に対し,(a)上記立替払契約について生じた事由(錯誤,詐欺,民法93条ただし書類推適用,公序良俗違反,債務不履行解除)による対抗,(b)不法行為に基づく損害賠償請求権との相殺による対抗,(c)権利濫用,信義則上の支払拒絶による対抗,(d)平成12年法律第120号による改正前の割賦販売法(以下「旧割賦販売法」という。)30条の4に基づく,原告らと山久との間の売買契約について生じた事由(錯誤,詐欺,公序良俗違反,債務不履行解除)による対抗,(e)合意に基づき,上記売買契約について生じた事由(錯誤,詐欺,公序良俗違反,債務不履行解除)による対抗を主張(原告X2,原告X3及び原告X4は,商品未受領による債務不履行解除,同時履行の抗弁による対抗も主張)し,主位的に未払立替金債務の不存在を,予備的に同債務の取立禁止を求める事案である。
反訴事件は,被告が,原告らに対し,上記立替払契約に基づき,未払立替金及びこれらに対する反訴状送達の日の翌日である平成14年9月18日から各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
被告承継参加人は,被告の会社分割により,被告から反訴請求の訴訟物たる各立替払契約に基づく立替金請求権の全部を承継したとして承継参加を申し立てた。原告X1,原告X2,原告X3,原告X4,原告X5及び原告X6は,被告の訴訟脱退を承諾したが,原告X7は承諾しなかったため,被告は,原告X1,原告X2,原告X3,原告X4,原告X5及び原告X6との関係で本件訴訟から脱退した。
1  前提事実(証拠等の記載のない事実は,当事者間に争いがない。)
(1)  当事者
ア 原告らは,被告との間で,立替払契約を締結することにより,山久から呉服や宝飾品等を購入した者であり,中高年層の女性である。
イ 被告は,信販会社であり,山久との間で加盟店契約を締結し,原告らが山久から呉服や宝飾品等を購入するに当たって,原告らとの間で立替払契約を締結した株式会社である。
(2)  山久及びその商法
ア 山久は,昭和61年3月7日,呉服の小売業等を目的として設立された株式会社である。山久は,呉服商品のほぼすべてを丸友株式会社(以下「丸友」という。)から仕入れ,平成9年2月ころまで,丸友に対して経理,事務処理などを任せるなど,山久と丸友は密接な関係にあった(甲共1,3,13,弁論の全趣旨)。
イ 山久は,平成5年ころ,いわゆる「モニター商法」といわれる販売方法(以下「本件モニター商法」という。)により呉服を販売することを始め,平成7年ころ以降,本件モニター商法による呉服の販売が活発に行われた。本件モニター商法の概要は,以下のとおりである。(甲共1,3,35,弁論の全趣旨)
(ア) 山久は,「簡単なお仕事です。」などと記載した新聞の折り込み広告を出すなどして,モニターとして採用する女性(以下「モニター会員」という。なお,平成10年10月ころに山久に対して行われた税務調査を契機として,「モニター」との呼称が「外交員」との呼称に変更されたが,実体には何ら変化がない。以下,併せてモニター会員と記載する。)の募集を行った。
(イ) モニター会員は,山久から,呉服や宝飾品等の商品を購入する。
(ウ) モニター会員は,山久の主催する展示会等において,山久から購入した商品を着用して顧客を勧誘し,山久は,モニター会員に対し,その対価として1回の出勤につき5000円程度の活動費を支払う。
(エ) 山久は,活動費とは別に,モニター会員に対し,同会員が信販会社との立替払契約を利用して山久の商品を購入する場合には,同会員が信販会社に対して毎月支払う分割支払金を上回る額のモニター料を支払う。これにより,モニター会員は,実質的に金銭的な負担なく商品を取得することができることになる。
(オ) なお,山久は,モニター会員に対して,同会員が信販会社に対して毎月支払う分割支払金の半額程度のモニター料を支払う場合もある(以下「半分モニター制度」という。)。この場合には,モニター会員は,実質的に商品代金の半額を負担することで商品を購入することができることになる。
(3)  山久の破産申立てに至る経緯
ア 山久は,信販会社を利用した本件モニター商法で商品を販売することにより,平成7年から平成10年まで売上高を伸ばしたが,本件モニター商法による売上げが多くなったため,モニター会員に支払うモニター料が増加し,利益を上げることができなくなった。(甲共1,3,35,弁論の全趣旨)
イ 上記1(2)アのとおり,山久は,商品のほぼすべてを丸友からの仕入れに頼っていたところ,丸友もその売上げの大部分を山久に頼っていた。しかし,山久の経営状況が悪化し,平成11年11月,丸友に対する商品代金の支払ができなくなったことから,丸友の経営状況も急速に悪化し,丸友は,同月,一方的に山久に納入していた商品を引き上げた。丸友は,同月30日,京都地方裁判所に対して破産申立てを行い,同年12月2日,同裁判所から破産宣告を受けた。山久は,丸友の破綻によって,商品を販売することができなくなり,また,他に商品を供給してくれる相手を見つけることもできなかったため,同年11月中旬以降,商品販売業務を停止した。山久は,同年12月末日,振出手形の決済ができず,平成12年2月29日,東京地方裁判所に対して破産申立てを行い,同年3月8日,同裁判所から破産宣告を受けた。(甲共1ないし3,12,13,35,弁論の全趣旨)
(4)  原告らと山久の関係
ア 原告らは,山久との間で,別紙契約内容等一覧表「契約年月日」欄記載の年月日ころ,同一覧表「商品代金」欄記載の代金で,同一覧表「商品」欄記載の商品を購入し(以下「本件各売買契約」という。),同時に,上記1(2)イ(ウ)及び(エ)(本件モニター商法の概要)を内容とする業務委託契約(以下「本件各モニター契約」という。)を締結した。
なお,原告らの中には,被告との関係で,半分モニター制度を利用したものはいない。
イ 山久は,原告らに対し,本件各モニター契約に基づき,毎月,モニター料を支払っていたが,平成11年11月末,一部の原告らに対するモニター料の支払を怠った。その後,山久は,原告らに対し,モニター料を支払っていない。(甲共1,2,弁論の全趣旨)
(5)  原告らと被告及び被告承継参加人の関係
ア 原告らは,山久から商品を購入する際,被告との間で,それぞれ別紙契約内容等一覧表「契約年月日」欄記載の年月日ころ(ただし,原告X3については平成11年6月15日ころ,原告X5については同年5月27日ころ,原告X7については同月17日ころ),同一覧表「商品」,「商品代金」,「手数料」,「クレジット総額」各欄記載のとおりの立替払契約(以下「本件各立替払契約」という。)を締結した。(乙エAcde70の1,同134の1,同291の1,同433の1,同736の1,同1134の1,弁論の全趣旨)
イ 原告らは,被告に対し,本件各立替払契約締結後,山久との間で締結した売買契約に基づき購入する商品等の現金価格から頭金を除いた額に分割払手数料を加算した額につき,支払回数に応じて毎月,分割支払金(以下,本件各立替払契約に基づき原告らが被告に対して支払う分割支払金を「割賦金」という。)を支払い,その合計額は,それぞれ別紙契約内容等一覧表「支払済額」欄記載の額となる。
ウ 被告は,原告らに対し,別紙契約内容等一覧表「請求額」欄記載の割賦金の支払を請求していたが,原告らはこの支払を拒絶している。
被告承継参加人は,被告の会社分割により,被告から反訴請求の訴訟物たる各立替払契約に基づく割賦金請求権の全部を承継したとして承継参加を申し立て,原告らに割賦金の支払を請求している。
被告は,原告X1,原告X2,原告X3,原告X4,原告X5及び原告X6の承諾を得て,同各原告との関係で本件訴訟から脱退したが,原告X7からは承諾を得られなかったため,同原告との関係では本件訴訟から脱退していない。
(6)  被告と山久の関係
被告は,平成11年5月12日,山久との間で加盟店契約を締結し,原告らとの間の本件各立替払契約に基づき,山久に対し,別紙契約内容等一覧表「商品代金」欄記載の金額を支払ったが,同年8月5日,山久との取引を打ち切った。(乙エ2ないし4,弁論の全趣旨)
2  争点
(1)  本件各立替払契約の錯誤無効
(2)  本件各立替払契約の詐欺取消し
(3)  本件各立替払契約に対する民法93条ただし書の類推適用
(4)  本件各立替払契約の公序良俗違反
(5)  本件各立替払契約の善管注意義務違反による債務不履行解除
(6)  不法行為に基づく損害賠償請求権との相殺
(7)  権利濫用,信義則上の支払拒絶
(8)  本件各売買契約の錯誤無効
(9)  本件各売買契約の詐欺取消し
(10)  本件各売買契約のモニター料不払による債務不履行解除
(11)  本件各売買契約の公序良俗違反
(12)  本件各売買契約の商品未受領による債務不履行解除,同時履行の抗弁
(13)  旧割賦販売法30条の4による抗弁の対抗
(14)  抗弁の対抗の合意
(15)  旧割賦販売法30条の4による抗弁の対抗の効果等
3  争点に対する当事者の主張
(1)  争点(1)(本件各立替払契約の錯誤無効)について
ア 原告らの主張
(ア) 原告らは,本件各立替払契約を締結した当時,山久が既に破綻必至の状態にあり,将来も確実に山久からモニター料の支払を受け続けることが不可能な状態であったにもかかわらず,本件各立替払契約の立替金支払終了時まで確実に山久からモニター料の支払を受け続けることができるものと誤信して,被告との間で,本件各立替払契約を締結した。
山久では,平成6年2月期以降,総売上高に占める本件モニター商法による売上割合が5割を超え,その後も年々その割合が増加し続け,最終的には,その割合は8割を超えていた。山久の同月期における資本欠損額は2億7943万円であって,山久の年間利益に等しい金額であったことによると,この時点で山久の経営は破綻していたといえる。
(イ) 被告は,山久と加盟店契約を締結するに当たり,山久が本件モニター商法を行っていることに気付いていた。当時の呉服業界における山久の商品の販売状況は異常であった。また,被告の担当者は,山久の事務室を訪れた際に,山久のモニター会員が大挙してモニター料を受け取りに来た姿を目撃しているし,山久の主催する展示会において,顧客がモニター料について話をしていたのも聞いている。さらに,被告は,分離前相被告株式会社オリエントコーポレーション(以下「オリコ」という。)や東京総合信用株式会社(以下「東総信」という。なお,東総信は,平成11年10月1日に日本総合信用株式会社と合併し,分離前相被告株式会社クオーク(以下「クオーク」という。)となった。)が山久と取引を停止した事実やその理由も知っており,公的な消費者相談機関に対する顧客からのクレームの存在も知っていた。被告は,山久の経営状態や本件モニター商法の存在を認識しており,原告らが本件各立替払契約の締結の際に誤信に陥っていることも知っていた。
(ウ) 本件各立替払契約は,原告らにおいて動機に錯誤があり,これを被告が知っていたのであるから,無効である。
イ 被告の主張
(ア) 原告らが,本件各立替払契約の締結当時,山久からのモニター料の支払について誤信していたとしても,これは本件各立替払契約を締結する動機の錯誤にすぎない。そして,被告は,本件各立替払契約の締結当時,山久の経営状態や本件モニター商法の存在を知らず,原告らの上記動機についても知らなかった。被告が本件モニター商法の存在を確実に知ったのは,平成11年8月4日である。
被告は,山久と加盟店契約を締結するに当たって,山久の業績を調査した上で,加盟店審査を適正に行い,顧客と立替払契約を締結するに当たっても,顧客に対して商品購入意思等の確認等を適切に行ったが,本件モニター商法の存在を知ることができなかった。被告は,平成11年6月ころ,山久の顧客の中から30人を無作為に抽出し,本件モニター商法について電話による確認をしたが,モニター料の支払など本件各モニター契約の存在について顧客から聞くことはなかった。また,被告の担当者は,山久の事務室を訪れた際に,山久のモニター会員が大挙してモニター料を受け取りに来る姿を目撃したことはなく,山久の主催する展示会場において,顧客がモニター料について話をしているのを聞いたこともない。さらに,各信販会社は競争関係にあり,当時,互いに情報を交換するシステムも存在しなかったため,被告は,オリコや東総信が山久との取引を止めた事実を知らなかったし,その理由も知らなかった。
(イ) モニター料は本件各立替払契約の支払原資の1つにすぎず,モニター料の支払がなければ,原告らが本件各立替払契約を締結しなかったとはいえない。
(ウ) 原告らが主張するように,山久が,本件各立替払契約の締結当時,既に破綻必至の状態にあったのであれば,原告らは,錯誤に陥ったことについて重大な過失があったというべきである。
(2)  争点(2)(本件各立替払契約の詐欺取消し)について
ア 原告らの主張
(ア) 上記(1)ア(ア)(争点(1)における原告らの主張)で述べたとおり,山久は,原告らが本件各立替払契約を締結した当時,既に破綻必至の状態にあった。山久の代表者であったC,山久の専務であったD,山久の新宿店店長であったEから指示を受けた担当者は,本件各立替払契約に基づく割賦金支払終了時まで原告らに対して確実にモニター料を支払い続けることが不可能な状態であることを知っていたにもかかわらず,本件各立替払契約に基づく割賦金支払終了時まで原告らに対してモニター料を支払い続けることができるものと説明し,原告らを欺いた。
(イ) 被告は,山久に対し,原告らの与信枠を提示して,山久の仲介のもとで原告らと本件各立替払契約を締結するなどしていたのであるから,山久は,被告の代理に準ずる者として,民法96条2項にいう第三者に該当せず,被告は山久と共謀して原告らを欺いたというべきである。仮に,山久が同条同項にいう第三者に該当するとしても,上記(1)ア(イ)(争点(1)における原告らの主張)で述べたとおり,被告は,山久の経営状態や本件モニター商法の存在を知っていたのであるから,山久の上記欺罔行為についても知っていた。
(ウ) 原告らが,本件各立替払契約を締結したのは,山久の担当者が上記説明をしたためである。
(エ) 原告らは,被告に対し,本件訴状により,本件各立替払契約を取り消す旨の意思表示をした。
イ 被告の主張
(ア) 山久の担当者は,原告らを欺罔していないし,その故意もなかった。山久は平成11年10月まで原告らに対してモニター料を支払っていたし,経営状況の改善に努力していた。
(イ) 原告らが主張するように,山久が,本件各立替払契約の締結当時,既に破綻必至の状態にあったのであれば,原告ら自身も,この点に気付いていたはずであって,原告らが錯誤に陥っていたことはない。
(ウ) 仮に,山久の行為が欺罔行為に該当し,原告らが錯誤に陥っていたとしても,本件各立替払契約と本件各売買契約は別個の契約であるから,被告にとって,山久は民法96条2項の「第三者」に該当する。そして,被告は,本件各立替払契約の締結当時,本件モニター商法の存在を知らなかったし,山久の原告らに対する欺罔行為も知らなかったのであるから,山久による詐欺行為は本件各立替払契約の効力に影響を与えない。
(3)  争点(3)(本件各立替払契約に対する民法93条ただし書の類推適用)について
ア 原告らの主張
原告らは,本件各立替払契約を締結した際,山久との間で,本件各立替払契約の立替金について,山久が原告らに対して同額のモニター料を支払うことで山久が負担する旨の合意をした。そして,このことは,上記(1)ア(イ)(争点(1)における原告の主張)で述べたとおり,被告も知っていたし,少なくとも知ることができた。被告は,本件各立替払契約の実質的な割賦金債務者が山久であることを知っていたからこそ,原告らの支払能力に関する審査をせずに原告らに対して与信した。本件各立替払契約においては,形式的な債務者は原告らであるが,実質的な債務者は山久であって,このことを被告が知っていた,又は知ることができたのであるから,本件各立替払契約は民法93条ただし書の類推適用により無効である。
イ 被告の主張
原告らは,山久に本件各立替払契約に基づく割賦金を直接支払わせていたのではなく,山久との間で締結した本件各モニター契約に基づいて山久からモニター料を受領し,その金員を被告に対して支払っていた。本件は,商品の購入意思を欠く,いわゆる名義貸しとは異なり,原告らは,商品を自ら購入,保持しているのであって,モニター料は,本件各立替払契約に基づく割賦金債務の単なる支払原資にすぎない。原告らは,内心においても,本件各立替払契約の当事者として債務を負担していることを認識していたのである。そうすると,本件各立替払契約については,形式的にも,実質的にも,原告らの表示行為と効果意思との間に不一致がない。本件各立替払契約に民法93条ただし書を類推適用することはできない。
また,被告は,本件各立替払契約締結当時,本件モニター商法の存在を知らなかった。
(4)  争点(4)(本件各立替払契約の公序良俗違反)について
ア 原告らの主張
本件モニター商法は,山久が信販会社から商品代金を受領した後,各モニター会員に対し,モニター料として商品代金に立替払契約手数料を付加した金額を支払うことになるから,最終的には,山久は,信販会社から受領した商品代金以上の支出を余儀なくされるものである。そうすると,山久が本件モニター商法を継続するためには,商品の販売数を増やし続ける必要があるが,これには限界があるから,本件モニター商法は,最終的には破綻し,多くの犠牲者を出すこととなって,いわゆるねずみ講類似の構造を内在する反社会的な取引である。そして,本件モニター商法は,被告を含む信販会社からの立替払なくしては存在し得ない商法であるから,被告との間で締結された本件各立替払契約と不可分一体のものである。上記(1)ア(イ)(争点(1)における原告らの主張)で述べたとおり,被告は,山久の経営状態や本件モニター商法の存在を知りながら,収入の無い主婦や高齢の年金生活者らに過剰な与信をするなど,本件モニター商法に積極的に関与したのであるから,本件各立替払契約は公序良俗に反し無効である。
イ 被告の主張
(ア) 本件モニター商法は,いわゆるねずみ講とは異なり,個々の消費者が個別に山久と契約するものであって,制度として必然的に顧客が無限に増加するというようなものではない。
(イ) 本件各売買契約と本件各立替払契約は別個の契約である。本件モニター商法が信販会社からの立替払なくしては存在し得ない商法であるとしても,それは山久が信販会社を利用した結果にすぎない。
(ウ) 被告は,山久の主催する展示会において顧客から立替払契約の申込みがされた場合,その場で承諾をすることはなく,社内の担当部署において当該顧客の本人性,契約事実,購入意思を調査,確認し,問題のないことを確認してから立替払契約を締結することとしていた。この調査,確認の段階で,顧客の支払能力に問題があると判断した場合には,当該顧客との間で立替払契約を締結しないこともあった。主婦であっても家計から費用を支出することが可能であるし,年金生活者であっても預貯金等があり得るのであるから,被告がこれらの者に対して与信をしたとしても,これのみをもって過剰な与信ということはできない。
(エ) 被告は,本件各立替払契約締結当時,山久の経営状態や本件モニター商法の存在を知らなかった。
(5)  争点(5)(本件各立替払契約の善菅注意義務違反による債務不履行解除)について
ア 原告らの主張
(ア) 本件各立替払契約の法的性質は準委任契約であるから,信販会社は,購入者に対し,受任者として,善良なる管理者の注意義務をもって立替払を実行する義務がある。
信販会社の立替払契約を利用した取引は,悪質商法の温床となっており,社会に対して危険を与えているのであるから,信販会社は,危険責任原理及び報償責任原理に照らして,加盟店を管理する義務を負う。さらに,信販会社は,昭和57年から平成7年までの間に5回にわたって,信販会社の立替払契約を利用した取引を所管する監督官庁から加盟店の管理について通達を受け,平成14年には監督官庁から加盟店管理について具体的なガイドラインを示されている。そして,消費者側には,信販会社側と比して,加盟店に関する情報が乏しいことなどからすると,信販会社は,本件各売買契約締結当時,信義則上,消費者に対して損害を及ぼさないよう加盟店を管理する義務(以下「加盟店管理義務」という。)を負っていたというべきである。
被告は信販会社であるから,消費者である原告らに対し,本件各立替払契約又は信義則に基づき,加盟店管理義務を負っていた。
(イ) 被告の原告らに対する加盟店管理義務の具体的内容は,以下のとおりである。
a 被告は,山久と加盟店契約を締結する際,山久の販売商品やそれに付随する役務,商品の販売方法等を調査し,その経営状態を把握して,消費者に損害を与えるような販売店ではないことを確認する義務を負っていた。
b 被告は,山久と加盟店契約を締結した後も,山久の信用状態や商品の販売方法等を継続的に把握し,消費者に対して損害を与えるような事実が判明した場合には,山久を指導し,改善されなければ加盟店契約を解除する義務を負っていた。
c 被告が上記のような義務を尽くした結果,山久が消費者に対して損害を与えるおそれがあることが判明した場合には,被告は,山久に対して本件各立替払契約に基づく立替払を実行しない義務を負っていた。
(ウ) 被告は,山久の経営状態や本件モニター商法の存在を知りながら,原告らに対し,山久の経営状態や本件モニター商法の存在について何ら説明することなく,漫然と立替払を実行した。
仮に,被告が山久の経営状態や本件モニター商法の存在を知らなかったとしても,被告は,安易に山久と加盟店契約を締結し,加盟店契約締結後も山久の資産内容や販売方法等の調査を怠った。
(エ) 原告らは,被告に対し,本訴状によって,本件各立替払契約を解除する旨の意思表示をした。
イ 被告の主張
(ア) 信販会社と購入者との間で締結される立替払契約における信販会社の受任者としての義務は,販売業者に対して立替払を実行することに尽きる。被告が原告らに対して加盟店管理義務を負うことはない。旧割賦販売法は,信販会社と顧客との利害調整の規定として同法30条の4を限定的に設けているのみであり,信販会社が購入者に対して加盟店管理義務を負うとの規定はない。信販会社の立替払契約を利用した取引は,信販会社及び販売業者だけでなく,消費者に対しても,当面の資金準備がなくとも商品を購入できるという利益を与えており,三者にとって利益となるシステムであって,信販会社のみが危険責任,報償責任を負うと解することは妥当でない。原告らの主張する通達やガイドラインは,いずれも社団法人日本割賦協会会長,社団法人日本クレジット産業協会会長,社団法人日本クレジット産業協会又は社団法人全国信販協会あてのものであって,信販会社にあてられたものではないし,行政指導は直ちに私法上の義務を発生させるものではない。消費者が販売業者と結託してクレジット取引を悪用する事例も存在することによると,信販会社の方が消費者よりも販売業者に関する情報を調査することが容易であるともいえないから,信販会社が信義則に基づいて加盟店管理義務を負うこともない。
(イ) 被告は,本件各立替払契約締結当時,山久の経営状態や本件モニター商法の存在を知らなかったし,仮に,被告が原告らに対して加盟店管理義務を負っていたとしても,被告はこれを怠っていない。
上記(1)イ(ア)(争点(1)における被告の主張)で述べたとおり,被告は,山久に対し,業績を調査した上で加盟店審査を適正に行い,顧客に対しても商品購入意思等の確認等を適切に行ったが,本件モニター商法の存在を知ることができなかった。被告は,平成11年6月ころ,山久の商品を購入して立替払契約を締結した顧客の中から30人を無作為に抽出し,立替払契約について電話による確認をしたが,モニター料の支払等本件各モニター契約の存在について顧客から聞くことはなかった。
(6)  争点(6)(不法行為に基づく損害賠償請求権との相殺)について
ア 原告らの主張
(ア) 上記(4)ア(争点(4)における原告らの主張)で述べたとおり,山久の行った本件モニター商法は,最終的には必然的に破綻するものであって,違法である。
(イ) 上記(1)ア(イ)(争点(1)における原告らの主張)で述べたとおり,被告は,山久の経営状態や本件モニター商法の存在を知っていたのであるから,いずれ山久が破綻し,原告らが山久からモニター料を受領できなくなることを知っていた。仮に,被告がこれを知らなかったとしても,上記(5)ア(ア),(イ)(争点(5)における原告らの主張)で述べたとおり,被告には山久を調査,管理する義務があるから,知らないことについては著しい過失がある。
(ウ) 上記(4)ア(争点(4)における原告の主張)で述べたとおり,本件モニター商法は,被告を含む信販会社からの立替払なくしては存在し得ない商法であるから,被告との本件各立替払契約と不可分一体となった商法である。そうすると,被告は,山久と共謀して違法な本件モニター商法に加担又は幇助したといえる。
(エ) 原告らは,山久及び被告の上記違法行為により,それぞれ,別紙契約内容等一覧表「請求額」欄記載の金額相当額の損害を被った。
(オ) よって,被告は,原告らに対し,共同不法行為者又は幇助者として,山久と連帯して原告らの被った損害額を賠償する義務がある。原告らは,被告に対し,本訴状によって,この損害賠償債権と被告が有効であると主張する未払立替金債権とを対当額で相殺する旨の意思表示をした。
イ 被告の主張
(ア) 上記(1)イ(争点(1)における被告の主張)で述べたとおり,被告は,山久の経営状態や本件モニター商法の存在を知らなかったのであるから,いずれ山久が破綻し,原告らが山久からモニター料を受領できなくなることを知らなかった。また,被告は,山久に対して適切に審査,管理をしていたし,顧客に対する電話確認等も行ったのであるから,本件モニター商法の存在を知らなかったことについて過失はない。
(イ) 本件各立替払契約と本件各売買契約は別個の契約であるから,本件各立替払契約が本件モニター商法と不可分一体であるとはいえないし,被告は上記のとおり本件モニター商法の存在を知らなかったのであるから,本件モニター商法に加担又は幇助したとはいえない。
(ウ) 原告らは,本件各立替払契約と本件各売買契約を締結することにより,山久から商品を入手しているのであるから,原告らには損害がない。
(エ) よって,被告は,原告らに対し,共同不法行為者又は幇助者としての損害賠償義務を負わない。
(7)  争点(7)(権利濫用,信義則上の支払拒絶)について
ア 原告らの主張
(ア) 旧割賦販売法42条の3は,信販会社に対し,信用情報機関を利用するなどして購入者の支払能力を超える与信をしないように定めているし,上記(5)ア(ア),(イ)(争点(5)における原告らの主張)で述べたとおり,信販会社は,加盟店管理義務を負っている。信販会社は,与信の専門家として自らの信用調査に基づき,販売業者に対して与信リスクを引き受けることを業とするものであるから,自らの調査不足や与信判断の誤りにより発生したリスクは自ら甘受すべきである。また,信販会社が販売業者と加盟店契約を締結することは,その販売業者の信用を裏付ける機能を有している。
本件では,被告は,山久と加盟店契約を締結して山久の信用を作り出した上,収入の乏しい原告らに対して高額な与信をしているのであるから,山久の破綻による不利益は被告が甘受すべきである。
(イ) そうすると,被告が,原告らに対し,本件各立替払契約に基づいて割賦金の支払を求めることは権利の濫用であり,原告らは,信義則上,被告の支払請求を拒むことができるというべきである。
イ 被告の主張
(ア) 原告らは,山久から商品を購入するに際し,自らが購入しようとする商品自体に着目して購入の意思を決定したのであって,被告から信用を与えられた山久が販売したということに着目して,商品を購入したわけではない。
(イ) 原告らと被告は,本件各立替払契約を締結しているのであるから,被告は,原告らに対し,信義則上,その支払能力について調査し,その調査に基づき正確に与信を判断する義務を負う反面,原告らも,被告に対し,自己に対する与信の可否を判断するための正確な情報を提供する義務を負う。原告らは,本件各立替払契約の締結に際し,被告に対し,本件各モニター契約の存在を伝えなかったのであるから,原告らの責めに帰すべき事情は大きい。
(ウ) そうすると,被告が,原告らに対し,本件各立替払契約に基づいて割賦金の支払を求めることは権利の濫用には該当せず,原告らは,被告の本件各立替払契約に基づく割賦金の支払を拒むことはできない。
(8)  争点(8)(本件各売買契約の錯誤無効)について
ア 原告らの主張
(ア) 山久は,原告らと本件各売買契約を締結した当時,客観的にみて破綻必至の状態にあり,将来も確実に山久からモニター料の支払を受領し続けることが不可能な状態であった。
山久では,平成6年2月期以降,総売上高に占めるモニター会員に対する売上割合が5割を超え,その後も年々その割合が増加し続け,最終的には,その割合は8割を超えていた。山久は,平成8年2月期には,繰り越されている資金5273万9000円と本件モニター商法以外の事業の利益1億8832万6000円の合計2億4106万5000円では,既に契約していたモニター会員に対するモニター料の合計3億4884万9000円を支払うことができない状態にあった。山久がこのモニター料を補うためには新たにモニター会員を増やし,信販会社から資金調達をすることが不可避であった。山久は,その後もモニター会員を増やし続け,当面の資金繰りに終始したため,遅くとも平成11年5月以降の本件各売買契約を締結した当時には,山久の経営は客観的にみて破綻し,又は破綻を回避することができなくなったといえる。山久が負担するモニター料の支払債務を考慮すると,山久の営業損益は平成6年2月期以降毎年赤字になっていた。山久がすぐに破綻しなかったのは,原告らに対する支払が分割払であるのに対し,被告を含む信販会社からの入金が一括払でされるため,収入と支出との間に時間差が存在したからにすぎない。山久の破綻は,丸友による商品の引き上げが直接の契機となっているが,丸友が商品を引き上げたのは,山久の丸友に対する支払が停止したからであり,結局のところ,山久の破綻の直接的な原因は本件モニター商法による山久自身の資金繰りの悪化にある。山久は,呉服販売以外のノウハウを有していない会社であって,他の商売をすることは不可能であったし,呉服業界全般の売上不振等に照らすと,平成11年5月以降の本件各売買契約を締結した当時,山久が破綻を回避することのできる即効性のある方策を打ち出すことは不可能であった。
(イ) 原告らは,本件各売買契約の締結当時,山久が上記(ア)のような状態であったにもかかわらず,本件各立替払契約に基づく割賦金支払終了時まで確実に山久からモニター料を受領できるものと誤信して,山久との間で,本件各売買契約を締結した。
(ウ) 原告らは,山久から,モニター料の支払約束を中心に勧誘されたのであり,本件各売買契約の締結に際し,山久に対し,モニター料の支払があるからこそ商品を購入する旨を表示していた。
(エ) 原告らは,本件各モニター契約を締結しなければ本件各売買契約を締結しなかったのであって,これらの契約は不可分一体のものである。本件各モニター契約と本件各売買契約を分断することにより,本件各モニター契約に生じた事由が本件各売買契約の有効性に影響を与えないと解することはできない。原告らは,山久がモニター料を支払う旨の約束をしなければ,本件各売買契約を締結することはなかった。
(オ) よって,本件各売買契約の締結については,原告らにおいて動機の錯誤があり,この動機は山久に表示されていたのであるから,要素に錯誤があったものとして無効となる。
(カ) 被告は,原告らに重大な過失があった旨主張する。しかし,山久は,原告らに対し,自らの営業状態を隠した上で,モニター会員になって商品を購入するよう勧誘していたのであって,モニターの募集自体は社会生活上一般的に行われているものであることに照らすと,消費者事件についての特段の知識を持たない原告らが,本件モニター商法が破綻必至の商法であることに気付くことを期待することはできない。
また,仮に原告らに重大な過失があったとしても,原告らは,山久の欺罔行為によって錯誤に陥ったのであるから,錯誤無効を主張できると解すべきである。
イ 被告の主張
(ア) 仮に,原告らが本件各モニター契約に関して錯誤に陥っていたとしても,本件各売買契約と本件各モニター契約は,以下の事実に照らして,別個の契約であるといえるから,本件各売買契約の有効性には何ら影響を与えない。
a 本件各売買契約の契約書の「商品販売の条件」欄には,本件各モニター契約の記載がなく,本件各モニター契約は,別個の契約書が作成されている。
b 売買契約とは別に,「愛染苑山久外交員規約」と題する外交員規則が存在した。
c 税務署の指摘により,原告らへのモニター料の支払が課税対象とされた。
d 半分モニター制度のように呉服の代金がモニター料よりも高額である場合もあり,本件各モニター契約に基づく山久のモニター料の支払は,本件各売買契約の代金支払の原資の1つにすぎなかった。
e 山久の展示会で商品を購入する場合,売買契約書は展示会場で作成されたが,モニター契約の契約書は,後日山久の店舗等で作成された。
f 原告らは山久から受け取った現金を自ら引落口座に振り込み,被告は同口座から月々の立替金を引き落としていた。仮に,本件各モニター契約と本件各売買契約が一体のものであれば,山久から直接被告の指定口座に振り込まれるはずである。
(イ) 仮に,原告らが本件各立替払契約に基づく割賦金支払終了時まで確実に山久からモニター料の支払を受け続けることができるものと誤信したことが,本件各売買契約締結についての動機の錯誤に当たり得るとしても,経営危機に陥った企業の経営状況が回復することは多々あるから,上記行為が本件各売買契約締結についての錯誤であるというためには,①山久が,原告らとの本件各売買契約の締結時において,客観的にみて確実にモニター料の支払ができない状態にあったこと,②本件モニター商法がその仕組み自体により成り立たない制度であったこと,③原告らとの本件各売買契約の締結時において山久にモニター料の支払意思が全くなかったことのいずれかが必要である。そして,以下のとおり,本件では上記①ないし③の要件をいずれも満たさないから,上記誤信が本件各売買契約についての錯誤に当たることはない。
a ①(山久が,原告らとの本件各売買契約の締結時において,客観的にみて確実にモニター料の支払ができない状態にあったこと)について
山久が客観的にみて確実にモニター料の支払ができない状態に達したのは,直接の商品の仕入先である丸友が商品を引き上げた平成11年11月中旬以降である。山久は,少なくとも,平成11年2月期には黒字経営であったし,平成11年10月末まで,原告らに対し,モニター料を支払っていたのであるから,平成6年2月期に山久がモニター料の支払ができない状態であったということはできない。
b ②(本件モニター商法がその仕組み自体により成り立たない商法であったこと)について
本件モニター商法は,そもそも販売促進の一環として開始されたものであり,山久の一存でモニター会員の採用を止めたり,モニター料を減額するなどの方法によって,支払うべきモニター料を減らすことができるのであるから,その仕組み自体により,必ず成り立たない商法であるとはいえない。仮に,モニター会員との個々の契約ではマイナス勘定になるとしても,一般客に対する売上高とモニター会員に対する売上高の割合,モニター会員による一般客への売上貢献度等の要素によっては,本件モニター商法は成り立ち得るものである。
c ③(原告らとの本件各売買契約の締結時において山久にモニター料の支払意思が全くなかったこと)について
山久は,丸友の倒産後,新たな取引先を獲得しようと努力していたし,平成11年10月末まで,モニター料の支払を継続していた。本件モニター商法が開始された縁由は販売促進の一環であって,山久は,平成9年ころから経営の立て直しを図っていたのであるから,山久には,本件各売買契約の締結時において,モニター料を支払う意思があった。
(ウ) 原告らは,山久に対して,本件各売買契約を締結した動機を表示していない。
(エ) 原告らの錯誤は要素の錯誤に該当しない。
山久の顧客のほとんどが中高年層の婦人であって,呉服購入歴のある者もいることに照らすと,原告らにはもともと呉服取得の意思があったといえる。山久のモニター会員の中には,半分モニター制度を利用して呉服等の商品を購入した者もおり,呉服の代金がモニター料より高額である場合もある上,顧客の中には,モニター契約を締結することなく自分の資金で商品を購入した者も存在する。そして,山久の原告らに対する勧誘方法は,「信販会社に支払う割賦金は山久が支給するから,実質的な負担なく山久の商品を購入できる。」というものであったことに照らすと,モニター料は本件各売買契約の支払原資の1つにすぎず,モニター料の支払がなければ,原告らが本件各売買契約を締結しなかったとはいえない。
(オ) 原告らが,対価性のある労働をすることなく呉服等を手に入れられるなどと誤信したのであれば,これは不法な動機であるというべきであって,本件各売買契約の錯誤無効により原告らを保護する必要はない。
(カ) 山久が,本件各売買契約の締結当時,既に破綻必至の状態にあったのであれば,原告らは,錯誤に陥ったことについて重大な過失があったというべきである。原告らは,山久と2回以上の取引をした経験を有しており,少なくとも,2回目の取引をした時点で山久の内部者となっていたのであって,その経営状態について知り得る地位にあった。
(9)  争点(9)(本件各売買契約の詐欺取消し)について
ア 原告らの主張
(ア) 上記(8)ア(ア)(争点(8)における原告らの主張)で述べたとおり,山久は,原告らが本件各立替払契約を締結した当時,既に破綻必至の状態にあった。
(イ) 山久の代表者であったC,山久の専務であったD,山久の新宿店店長であったEから指示を受けた山久の担当者は,本件各立替払契約の立替金支払終了時まで原告らに対して確実にモニター料を支払い続けることが不可能な状態であることを知っていたにもかかわらず,本件各立替払契約に基づく割賦金支払終了時まで原告らに対してモニター料を支払い続けることができるものと説明し,原告らを欺いた。
なお,山久は,平成11年10月末まで,原告らに対し,モニター料を支払っていたが,これは山久が,モニター会員に対し,大量の商品を購入させて信販会社との間で高額の立替払契約を締結させることで,立替金を一時的に取得し,長期的なモニター料の支払債務との時間差を利用して延命していたにすぎない。山久の担当者は,山久が破綻必至であることを認識していた。
(ウ) 原告らは,上記山久の担当者の欺罔行為により,原告らに対するモニター料の支払が本件各立替払契約に基づく割賦金支払終了時まで続けられるものと誤信した。
(エ) 上記(8)ア(エ)(争点(8)における原告らの主張)で述べたとおり,原告らは,山久がモニター料を支払う旨の約束をしなければ,本件各売買契約を締結することはなかった。
(オ) 原告らは,山久に対し,本訴状によって,本件各売買契約を取り消す旨の意思表示をした。
イ 被告の主張
(ア) 本件各売買契約と本件各モニター契約は,別個の契約であるから,仮に,山久が本件各モニター契約に関して欺罔行為をしたとしても,本件各売買契約には何ら影響を与えない。
(イ) 仮に,山久が原告らに対してモニター料を支払う旨を述べて本件各売買契約を締結させたことが,本件各売買契約についての欺罔行為に当たり得るとしても,上記行為が本件各売買契約についての欺罔行為であるというためには,①山久が,原告らとの本件各売買契約の締結時において,客観的にみて確実にモニター料の支払ができない状態にあったこと,②本件モニター商法がその仕組み自体により成り立たない制度であったこと,③原告らとの本件各売買契約の締結時において山久にモニター料の支払意思が全くなかったことのいずれかが必要である。そして,上記(8)イ(イ)(争点(8)における被告の主張)で述べたとおり,本件では上記①ないし③の要件をいずれも満たさないから,上記行為が本件各売買契約についての欺罔行為に当たることはない。
(ウ) 山久の担当者には詐欺の故意がない。山久は平成11年10月まで原告らに対してモニター料を支払っていたし,経営状態の改善に努力していた。また,山久の担当者は,山久の経営状態を正確に認識していなかったし,業務執行の具体的状況を把握できる状況にもなかった。
(エ) 山久が,本件各立替払契約の締結当時,既に破綻必至の状態にあったのであれば,原告ら自身も,この点に気付いていたはずであって,原告らが錯誤に陥っていたとはいえない。
(オ) 山久の行為には違法性が存在しない。山久は破綻回避に向けて経営状態の改善に努力していたし,山久が破綻した直接の原因は丸友の破綻にあることに照らすと,山久の行為は取引上要求される信義に反する違法なものではない。
(10)  争点(10)(本件各売買契約のモニター料不払による債務不履行解除)について
ア 原告らの主張
(ア) 原告らと山久の間では,山久が本件各売買契約の代金に相当する金額を本件各モニター契約において負担するということは共通認識になっており,原告らは,本件各モニター契約を締結しなければ本件各売買契約を締結しなかったのであるから,これらの契約は不可分一体のものである。同一当事者間の債権債務関係が,形式的には,2個以上の契約から成る場合であっても,それらの目的とするところが相互に密接に関連付けられていて,社会通念上いずれかの契約が履行されるだけでは契約を締結した目的が全体として達成されないと認められる場合には,1つの契約の債務不履行により,契約全体を解約することができる。本件では,本件各モニター契約の存在は,本件各売買契約の締結に当たって最も重要な動機になっていたのであるから,本件各モニター契約と本件各売買契約は相互に密接に関連付けられており,本件各モニター契約は本件各売買契約の前提であるとともに重要な要素にもなっていた。そうすると,山久によるモニター料の不払は,本件各モニター契約の解除事由になるだけでなく,本件各売買契約の解除事由ともなる。
(イ) 原告らは,山久が破産宣告を受ける前は山久に対して,山久が破産宣告を受けた後は山久の破産管財人に対して,本件各売買契約を解除する旨の意思表示をした。
イ 被告の主張
本件各売買契約と本件各モニター契約は別個の契約であるから,これらの契約が不可分一体であるということはできないし,本件各モニター契約が本件各売買契約の特約であるということもできない。
(11)  争点(11)(本件各売買契約の公序良俗違反)について
ア 原告らの主張
(ア) 上記(4)ア(争点(4)における原告の主張)で述べたとおり,山久の行った本件モニター商法は,最終的には必然的に破綻するねずみ講類似の商法であって,多くの被害者を出すことが想定される反社会的な取引である。ねずみ講類似の商法は,①破綻の必然性,②多数の経済的損失者の現出,③非生産性,射幸性,④欺瞞的,誇大的勧誘行為の存在という点において,公序良俗に反すると解されるところ,本件モニター商法は,この①ないし④の要件をすべて満たす。
(イ) 上記(8)ア(エ)(争点(8)における原告らの主張)で述べたとおり,原告らは,本件各モニター契約を締結しなければ本件各売買契約を締結しておらず,これらの契約は不可分一体のものである。そうすると,本件モニター商法の公序良俗違反性は,本件各モニター契約及び本件各売買契約を複合した取引を全体として評価すべきであり,本件モニター商法が公序良俗に反する以上,本件各売買契約も公序良俗に反し,無効である。
イ 被告の主張
(ア) 本件モニター商法は,ねずみ講といわれるものとは異なり,個々の消費者が個別に山久と契約するもので,制度として必然的に顧客が無限に増加するというようなものではない。
(イ) 本件各売買契約と本件各モニター契約は,別個の契約であり,本件各売買契約における山久の商品自体には,問題がない。原告らは,その商品の購入を自らの責任と判断で決めたのであるから,山久からモニター料の支払を理由に商品の購入を勧められたとしても,本件各売買契約が公序良俗に反し無効であるとはいえない。
(12)  争点(12)(本件各売買契約の商品未受領による債務不履行解除,同時履行の抗弁)について
ア 原告X2,原告X3及び原告X4の主張
(ア)a 原告X2は,山久から購入した呉服用コートを受領していない。
原告X2が山久から購入した呉服用コートは,生地から仕立て上げるものであって,引渡しを受ける前に山久が倒産した。被告は,コート生地の引渡しをもって,呉服用コートの引渡しは完了した旨主張するが,原告X2はコート生地を購入したのではなく,呉服用コートを購入したのであるから,呉服用コートが完成してそれが引き渡されない限り,呉服用コートの引渡しと評価することはできない。
b 原告X3は,山久から購入したリングを受領していない。
原告X3が山久から購入したリングは,サイズ直しが必要なものであって,その引渡しを受ける前に山久は倒産した。
c 原告X4は,山久から購入した呉服(大島紬)を受領していない。
(イ) 原告X2,原告X3及び原告X4は,山久に対し,購入商品の引渡債務の履行不能を理由に本件各売買契約を解除する旨の意思表示をした。
(ウ) 仮に履行不能でないとしても,原告X2,原告X3及び原告X4は,山久がこれらの原告に対応する別紙契約内容等一覧表「商品」欄記載の各商品を引き渡すまで,その未払立替金の支払を拒絶する。
イ 被告の主張
(ア) 原告X2は山久から購入した呉服用コートを受領した。
原告X2は,平成11年7月28日に開催された山久の展示会においてコート生地からの仕立てを必要とする呉服コートを購入し,その場でコート生地の引渡しを受けたというべきであるから,山久による呉服用コートの引渡しは完了したものである。仮に,呉服用コートの引渡しが同日に完了したと評価できないとしても,割賦金の支払期間は完成した商品を顧客が受け取ることが可能な時期を支払開始時期として設定するのが通常であり,原告X2の割賦金支払開始時期が同年9月とされていたことによれば,原告X2は,同月ころから仕立ての完成した呉服用コートを受領することができたはずである。そして,原告X2が同年11月22日まで山久を訪れていた上,山久に関して同年7月に締結された呉服,コート類についての立替払契約46件のうち,未受領の主張がある立替払契約が6件にすぎないことに照らすと,原告X2は,山久から呉服用コートを受領したはずである。
(イ) 原告X3は,山久から購入したリングを受領した。
原告X3は,平成11年6月13日に開催された山久の展示会においてリングを購入し,購入代金について立替払契約を締結しているところ,立替払による割賦金の支払期間は顧客が商品を受け取ることが可能な時期を支払開始時期として設定するのが通常であり,原告X3の割賦金支払開始時期が同年9月とされていたことによれば,原告X3は,同月ころからリングを受領することができたはずである。そして,山久に関して同月に締結された宝石類についての立替払契約28件のうち,未受領の主張がある立替払契約が3件にすぎないこと,原告X3が同年12月15日に被告に対して割賦金の支払停止を申し出た際に商品の未受領を主張していないことに照らすと,原告X3は,山久からリングを受領したはずである。
(ウ) 原告X4は,山久から購入した呉服(大島紬)を受領した。
原告X4は,平成11年5月16日に開催された山久の展示会において呉服(大島紬)を購入し,購入代金について立替払契約を締結しているところ,立替払による割賦金の支払期間は顧客が商品を受け取ることが可能な時期を支払開始時期として設定するのが通常であり,原告X4の割賦金支払開始時期が同年8月とされていたことによれば,原告X4は,同月ころから呉服(大島紬)を受領することができたはずである。そして,山久に関して同時期に締結された呉服類についての多数の立替払契約のうち,未受領の主張がある立替払契約がごく少数にすぎないことに照らすと,原告X4は,山久から呉服(大島紬)を受領したはずである。
(13)  争点(13)(旧割賦販売法30条の4による抗弁の対抗)について
ア 原告らの主張
(ア) 旧割賦販売法30条の4は,購入者は当該指定商品の販売につきそれを販売した割賦販売あっせん関係販売業者に対して生じている事由をもって,当該支払の請求をする割賦購入あっせん業者に対抗することができる旨規定している。上記(8)ないし(12)の各ア(争点(8)ないし(12)における原告らの主張)で述べたとおり,原告らには,本件各売買契約について割賦販売あっせん関係販売業者である山久に対して生じている抗弁事由があるから,これをもって,被告に対抗することができる。
(イ) 被告は,原告らが旧割賦販売法30条の6の準用する同法8条5号の規定する「従業者」に該当し,本件各売買契約には同法30条の4が適用されない旨主張する。
しかし,旧割賦販売法30条の6により,同法8条5号が準用されるとしても,消費者保護の観点からは,同条同号は同法30条の4に関して適用されるべきではない。
また,旧割賦販売法8条5号が予定する取引は,事業者の行う購買会における自社割賦販売のように,従業者の利益を害することが予定されていない取引であるというべきであるから,原告らの利益が害されるおそれのある本件各売買契約は同条同号の予定する取引ではない。
さらに,仮に,被告の主張するように,旧割賦販売法8条5号の「従業者」は事業者と雇用契約を締結したものをいうとしても,原告らは「従業者」ではない。原告らに支払われるモニター料は,本件各立替払契約に基づく割賦金の支払に充てられるものであって,原告らの仕事の対価として支払われるものではない。また,原告らは,毎月1回以上,山久の主催する展示会等に出席し,2時間程度,販売の手伝いをすることを前提に,山久から,月額4000円程度を報酬として受け取っていたが,原告らには,特別に決められた仕事があるわけではなかった。上記月額4000円程度の報酬は,原告らを展示会場等に呼び出して,さらなる商品を購入させるための道具にすぎず,山久との雇用関係を基礎付けるものではない。山久も,モニター会員を従業者と考えていなかったし,会計処理上,モニター会員という呼び名を外交員に変更したのは,会計士から税務上の指摘を受けたからにすぎない。
(ウ)a 被告は,原告らが旧割賦販売法30条の4による抗弁の対抗を主張することは信義則に反し,同条の上記割賦販売あっせん関係販売業者に対して生じている事由に該当しない旨主張する。しかし,同条は,購入者が信販会社に対して対抗する事由について何ら制限を設けていないし,仮に,購入者が同条による抗弁の対抗を主張することが信義則に反する場合があるとしても,それは購入者が立替払契約の不正利用により信販会社に損害を与えることを認識しながら積極的にこれに加担するような背信的悪意者の場合のみに限られる。
原告らは,山久の勧誘を受けてモニター会員になっただけであって,山久の営業実態や経営実態を知らず,信販会社に対する害意など有していなかった。原告らは,山久が原告らの立替金債務を代わりに支払ってくれるのは,原告らが「歩く広告塔」として山久の販売の役に立っているからであると信じていた。そして,原告らがこのように信じたのは,山久の担当者から同様の説明を受けたからであって,原告らにはまったく落ち度がない。また,原告らは,被告に対して本件各モニター契約の存在を隠したことはないし,原告らは,被告に対し,山久から支払われたモニター料をすべて割賦金として支払っているのであるから,原告らには利得はない。したがって,原告らが旧割賦販売法30条の4による抗弁の対抗を主張しても,信義則に反することはない。
また,上記(5)ア(ア)ないし(ウ)(争点(5)における原告らの主張)で述べたとおり,被告は,原告らに対し,原告らに不当な債務を負担させることのないよう加盟店契約を締結する販売店を審査し,加盟店契約の締結後は,その販売店の実態を適宜監視し,原告らの損害の拡大を防止する義務を負っていた。被告は,呉服業界における山久の売上げの異常性,山久の売上げに対する経費率の異常性,立替払契約数に対する不払,クーリングオフ,解約等の数の異常性を見逃すなど,上記義務に違反した。原告らが悪質商法について何の知識も持たない消費者であることに照らすと,原告らの落ち度は,上記被告の落ち度に比し,責められるべきものではない。
b そして,原告らの主張する旧割賦販売法30条の4による抗弁の対抗が認められる場合には,原告らは部分的な責任も負わない。
割賦販売法30条の4は,信販会社と販売業者と消費者との三者間の契約において,信販会社と販売業者を一体のものとみて,販売業者に主張できる抗弁を信販会社に対しても主張できるものとしているのであるから,信販会社と消費者との間で損失の分担を考えるという発想は,同条の趣旨に反する。
イ 被告の主張
(ア) 旧割賦販売法30条の4は,購入者は当該指定商品の販売につきそれを販売した割賦販売あっせん関係販売業者に対して生じている事由をもって,当該支払の請求をする割賦購入あっせん業者に対抗することができる旨規定しているところ,原告らの主張する抗弁は,「販売につき」生じた事由に該当しないから,原告らは,被告に対して,同条に基づき,抗弁を対抗することができない。
「販売につき」生じた事由とは,①売買契約に関して生じた事由,又は②役務の提供が販売の条件になっている場合には,当該役務の提供がなければ購入者が指定商品の購入を行わないと客観的に判断される場合をいうと解されるところ,以下のように,本件では,これら①,②のいずれにも該当しない。
a 上記(8)イ(ア)(争点(8)における被告の主張)で述べたとおり,本件各売買契約と本件各モニター契約は別個の契約であるから,本件各モニター契約について生じた事由は,①(売買契約に関して生じた事由)に該当しない。
b 上記の事実に加え,原告らのほとんどが中高年層の婦人であって,呉服購入歴のある者も存在すること,山久においては半分モニター制度が存在すること,本件モニター商法においては原告らが最終的に商品を取得できることなどに照らすと,原告らは,呉服等の商品を購入する目的で本件各売買契約を締結しており,役務の提供を受けることを主たる目的としている場合ではないから,上記②(役務の提供が販売の条件になっている場合には,当該役務の提供がなければ購入者が指定商品の購入を行わないと客観的に判断される場合)にも該当しない。
(イ) 旧割賦販売法30条の6によると,割賦購入あっせんについて同法8条5号が準用されるから,事業者がその従業者に対して行う割賦購入あっせんに関しては同法30条の4が適用されない。旧割賦販売法8条5号の趣旨は,事業者と従業者との間の取引は会社内部での取引であるから,内部自治の観点から旧割賦販売法の適用を除外すべきであるし,事業者の内部事情を知り得る立場にある従業者には同法による保護を与える必要がないという点にある。そうすると,旧割賦販売法8条5号の従業者は,事業者と雇用契約を締結した者,又は単なる販売者と顧客の関係を超えた者をいうと解するのが相当である。原告らは,以下の事実に照らし,山久と雇用契約を締結した従業者,又は単なる販売者と顧客の関係を超えた者であったといえるから,同法30条の4は適用されない。
a 原告らは,山久の求人広告に応募し,山久に対して履歴書を提出している。原告らは,山久の担当者から,「呉服を着て事務所に月2回来るのが仕事です。1回来ると5000円の活動費が出ます。」,「事務所では,着付けの勉強をしたり,展示会のときは2時間程手伝いをしにきたり,ダイレクトメールの宛名書きなどを手伝って下さい。」などと説明を受けているのであるから,本件各モニター契約を締結する際に,山久から仕事を依頼され,これに対する報酬を得ることを認識していた。
b 原告らは,山久に対し,モニター会員としての登録票を提出しているところ,同登録票には,勤務を前提として「通勤方法」の記載があり,税金申告に必要であるとの注意書のもと「国民健康保険加入」,「生命保険加入」,「損害保険加入」欄が存在する。また,原告らは,本件各モニター契約の締結に際し,山久との間で,契約書を作成しており,同契約書には,原告らの行う仕事内容の記載や,給与欄,月給欄が存在する。原告らは,これらの書面に署名押印しているのであるから,同書面の内容を理解していた。
c 原告らは,1か月に1度,2時間程度山久の主催する展示会に参加するなどして,販売員のアシスタント業務を行ったり,山久が依頼した展示会の案内状やチラシを配布する仕事を行った。
d 山久は,原告らの給与明細書及び給与袋を作成し,原告らは,毎月,給与明細書を受領する際,これに押印していた。また,原告らは,固定給与の他にも,山久から,活動費やボーナスを受領した。
e 山久は,労務の内容及び報酬その他注意事項について規定した規約や支払調書を作成しており,原告らの中には,所得税の確定申告書を提出した者も存在する。
f 山久の従業者は,正社員,準社員,モニター会員及びアルバイトにより構成されており,準社員,モニター会員及びアルバイトにはそれぞれ規約が制定されていた。山久では,アルバイトの回数に応じてアルバイトからモニター会員に,モニター会員としての成績に応じてモニター会員から準社員に順次昇格し,モニター会員及び準社員を通算3年以上行い,その貢献を山久が認めた場合には正社員に昇格するというシステムが採用されていた。このように,山久では,勤続年数により昇格するのであるから,モニター会員及び準社員は山久の従業者であるといえる。
g 原告らは,別紙モニター契約状況一覧表記載のとおり,被告との間で本件各立替払契約を締結した時点において長期にわたりモニター契約を締結し,山久のモニターとして活動したことに照らすと,少なくとも原告らが被告と本件各立替払契約を締結した時点において,原告らは山久の従業者であった。
h 原告X4は主任として山久で勤務していた者であるところ,山久における主任は,モニター会員の管理や指導等の業務を行っており,その業務内容に照らして,山久の従業者であったといえる。
i 山久の破産管財人も,第1回債権者集会における報告書において,モニター会員を従業員と記載している。
(ウ) 原告らが旧割賦販売法30条の4による抗弁の対抗を主張することは,以下の事実に照らして,信義則に反し,割賦販売あっせん関係販売業者に対して生じた「事由」に該当しない。仮に,抗弁の対抗の主張自体が信義則に反しないとしても,原告らは,信義則又は民法418条の類推適用に基づき,少なくとも5割の範囲で割賦金債務を負担すべきである。仮に,原告らが上記割賦金債務について全部の責任を負わないとすると,かえって本件モニター商法のような不適切な商法を助長することになる。
信販会社及び顧客との間の立替金請求事件においては,本来,顧客を勧誘し,信販会社から立替金の支払を受けるなどして利益の集中している販売業者こそが最も責任を問われるべきである。しかし,販売業者である山久が破産宣告を受けている本件においては,山久に対する責任追及が困難であることから,信販会社である被告と顧客である原告らとの間で,どのようにして損失を分担するかという点が,本件における本質的な問題といえる。民法418条が規定する過失相殺は,損害の公平な分担を意図しているところ,債務不履行に基づく損害賠償請求が問題となる場合だけでなく,契約上一方当事者に一定の権利,利益が認められるが,当該当事者に法律上の義務違反,又は社会生活における協同の精神若しくは債権関係における信義則違反が存在する場合には,損害の公平な分担という趣旨に照らし,同条の類推適用が認められるべきである。
a 本件では,以下のとおり,原告らの責めに帰すべき事情が存在する。
(a) 原告らは,本件モニター商法の仕組みを十分理解することができ,山久から本件各売買契約の締結を強制されることもなかったにもかかわらず,長期にわたって山久との間で本件各モニター契約を締結し,山久から多額の報酬を受領して山久のモニター商法に加担した。
(b) 原告らは,被告に対して本件モニター商法の存在を秘匿し,他人を積極的に勧誘したために,被告をして,本件モニター商法の発見を遅らせ,モニター会員の増加を招いた。
(c) 原告らは,全員が山久から購入した商品を占有している上,原告X1は,立替金の支払が終了した契約に関して実質的に金銭的負担なしに商品を取得した。
(d) 原告らは,山久からの受領額と支払済額の差額分の利得を得た上,山久が企画した旅行会に参加してその利益を得た。
(e) 原告らは,本件各立替払契約に基づく割賦金の支払を完了すれば,実質的に金銭的負担無く商品を取得できる立場にあり,それについても認識していた。
(f) 原告らは,山久のモニター商法に対して疑問を抱いていたし,信販会社に対して債務を負担することを認識していた。
b 本件では,以下のとおり,被告の責めに帰すべき事情は少ない。
(a) 被告は,上記(1)イ(ア)(争点(1)における被告の主張)で述べたとおり,山久における本件モニター商法の存在を知らなかったし,知らなかったことについて過失もない。
(b) 上記(5)イ(ア)(争点(5)における被告の主張)で述べたとおり,被告は,原告らに対し,加盟店管理義務を負っていない。
(c) 被告は,山久との間で加盟店契約を締結する際に,山久の商業登記簿謄本及び不動産登記簿謄本を取得して代表者の信用調査を行った上,山久の展示会場等を視察し,山久の代表者であったC,山久の専務であったD,山久の新宿店店長であったEと面談を行った。また,被告は,株式会社帝国データバンク(以下「帝国データバンク」という。)から山久に関する情報を取得し,山久の同業他社に対する風評調査を行った。さらに,被告は,その内部において,営業の側面から東日本営業開発部が,リスク管理の側面からリスクマネージメント部が,それぞれ審査を行い,二重の審査を行った。
(d) 被告は,山久との間で加盟店契約を締結した後も,その内部において,東京支店とリスクマネージメント部による二重の管理を行っていた。
(e) 被告は,平成11年6月8日,Fから,山久が本件モニター商法を行っている旨の申立てを受けたため,山久の代表者であるC及び山久の専務であったDとの面談,顧客に対する電話での聴取り調査,消費者センターに対する調査等により事実関係を調査した。
(f) 被告は,平成11年7月中旬ころ,山久が顧客の立替払金の支払を実質的に負担している旨の連絡を受けたため,帝国データバンクから山久の会社情報を入手して調査し,山久に対しては,展示会への参加人数の削減と参加中止の申入れを行った。被告は,山久からの要請を受けて,同月28日の熱海での展示会には参加したものの,その後の展示会には参加していない。また,被告は,消費者センターに対する調査も行った。
(g) 被告は,平成11年8月4日ころ,日本消費者協会を訪問して,山久に関する事実調査を行ったところ,山久の顧客が作成した金銭出納のメモ,モニター料の金額を記載した書面,信販会社が発行する立替払契約の支払明細書等,本件モニター商法の存在を裏付ける資料を確認した。被告は,同月5日,山久に対し,取引を停止する旨を告知し,同日以降,山久と取引していない。
(h) 被告は,平成11年5月12日に山久との間で加盟店契約を締結したが,同年7月28日の展示会を最後に,それ以後は,山久の展示会には参加しておらず,同年8月5日には山久との取引を停止した。被告が山久との間で取引を行っていたのはわずか3か月足らずである。
(14)  争点(14)(抗弁の対抗の合意)について
ア 原告らの主張
原告らは,被告との間で,本件各立替払契約の締結に際し,山久と原告らとの間で生じた抗弁事由を被告に対して対抗できる旨の合意をした。原告らが被告との間で締結した本件各立替払契約の各契約書の12条の(1)には,「申込者は,下記の事由が存するときは,その事由が解消されるまでの間,当該事由の存する商品について,会社に対する支払いを停止することができるものとします。」旨の記載が存在する。そして,上記12条の(5)には,「(1)の規定にかかわらず,次のいずれかに該当するときは,支払いを停止することができないものとします。」との記載があり,「①売買契約が申込者にとって商行為であること。②表記支払総額が4万円に満たないとき。③申込者による支払の停止が,信義則に反すると認められるとき。」との旨の,抗弁権の対抗条項に関する適用除外事由が定められているものの,購入者が従業者であるときを適用除外とはしていない。
イ 被告の主張
否認又は争う。
(15)  争点(15)(旧割賦販売法30条の4による抗弁の対抗の効果等)について
ア 原告らの主張
(ア) 上記(1)ないし(7)の各ア(争点(1)ないし(7)における原告らの主張)で述べたとおり,原告らは,被告に対し,本件各立替払契約に基づく割賦金債務を負わない。
また,旧割賦販売法30条の4は,消費者の信販会社に対する抗弁の対抗を規定しているところ,抗弁事由が消費者の販売店に対する債務の消滅をもたらすものである場合,同条により信販会社に対する債務も消滅すると解するのが相当である。なぜなら,抗弁対抗の効果が支払停止の効果にすぎないものと限定的に解すると,販売店に対する抗弁事由が消滅的なものである場合,法律上請求できない信販会社の消費者に対する債権が存続することになるからである。
よって,原告らは,被告に対し,主位的に,本件各立替払契約の無効又は遡及的消滅により,別紙契約内容等一覧表「請求額」欄記載の各金員につき,原告らの被告に対する割賦金債務が存在しないことの確認を求める。
(イ) 仮に,旧割賦販売法30条の4に基づいて債務の不存在の確認ができないとしても,同条は,消費者が信販会社に対し取立て禁止の請求をすることを当然に予定しているものと解される。なぜなら,同条の抗弁が成立するにもかかわらず,信販会社が消費者に対して法的手段を取らずに事実上の督促を継続してきた場合に,消費者が信販会社に対して同条に基づいて取立ての禁止を請求できないとすると,同条は有名無実化し,消費者の利益を保護できなくなるからである。
また,仮に,旧割賦販売法30条の4を直接の根拠とする取立禁止請求が認められないとしても,同条の抗弁が成立する場合には,信販会社による請求は消費者の生活の平穏を著しく害するものであるから,消費者は,信販会社に対し,人格権に基づいて取立行為の禁止を求めることができると解される。
本件では,上記(8)ないし(12)の各ア(争点(8)ないし(12)における原告らの主張)で述べたとおり,原告らには同条の抗弁が成立するにもかかわらず,被告は原告らに対し,「抗弁にならない」,「ブラックリストに載せる」,「多額の延滞金がつく」などの事実上の請求や,本件反訴請求を行っている。
よって,原告らは,被告に対し,予備的に,旧割賦販売法30条の4又は人格権に基づき,別紙契約内容等一覧表「請求額」欄記載の各金員につき,被告の取立行為の禁止を求める。
イ 被告の主張
(ア) 上記(1)ないし(7)の各イ(争点(1)ないし(7)における被告の主張)で述べたとおり,原告らは,被告に対し,本件各立替払契約に基づく割賦金債務を負う。
また,旧割賦販売法30条の4は,信販会社からの支払請求を前提として,これに対する支払拒絶を認めたものにすぎず,消費者の立替払契約に基づく債務の消滅を認めたものではないし,上記(8)ないし(12)の各イ(争点(8)ないし(12)における被告の主張)で述べたとおり,原告らは,被告に対して本件各立替払契約に基づく割賦金債務を負っているから,債務の不存在を確認する前提を欠いている。
(イ) 旧割賦販売法30条の4は,信販会社からの支払請求を前提として,これに対する支払拒絶を認めたものにすぎず,消費者の側から積極的に取立行為の禁止を求めることはできない。なお,上記(8)ないし(12)の各イ(争点(8)ないし(12)における被告の主張)で述べたとおり,原告らは,被告に対して本件各立替払契約に基づく割賦金債務を負っているから,被告の取立行為の禁止を求める前提を欠いている。また,原告らは,原告らの平穏な生活を害する具体的事実を明らかにしないから,人格権に基づいて取立行為の禁止を求めることもできない。
第3  当裁判所の判断
1  前提事実,後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)  山久と信販会社の取引経緯等(甲共1,3,12,13,35,甲231の2の1,乙エ1ないし5,9,10,証人L,証人G,証人H,証人I,分離前相原告J)
ア 山久は,店舗毎に1か月に1,2回の割合で展示会を開催し,顧客に対して商品を販売する形式を採っていた。山久は,平成7年ころから,丸友との間で加盟店契約を締結していたオリコら信販会社を利用して,丸友の販売代理店として顧客に丸友の商品を販売していた。当時,山久は,信販会社と直接取引をすることのできる信用がなかったため,丸友の協力を得た上で,信販会社が丸友に対して商品の代金を支払い,山久は,丸友から商品代金を控除した残額を受領することとしていた。
イ 山久は,平成11年2月ころ,正社員であったKを解雇したところ,Kは,オリコ,クオークらの信販会社に対し,山久が本件モニター商法を行っている旨を報告した。オリコは,当時,山久の商品販売の約80%について立替払契約を引き受けていたが,同年4月ころ,山久との取引を停止することとし,その旨を山久に連絡した。山久は,他の信販会社との取引を開始する必要に迫られることになり,同月20日ころ,被告に対し,加盟店契約の締結についての打診をした。
ウ 被告は,販売業者からの申込みで加盟店契約を締結することを原則として禁止する運用をしていたため,被告の加盟店審査に関する第1次的機関である東日本営業開発部は,山久の財務状況を調査することとした。同部は,山久に関する帝国データバンクの調査報告書による信用調査結果,被告と取引のあった同業他社からの山久の風評調査結果,山久の代表者であるC,専務と呼ばれた正社員であるD及び新宿店の店長であった正社員であるEとの面談結果などを考慮して,山久が資金繰りにひっ迫していないと判断し,営業的側面から山久と加盟店契約を締結しても問題がないと判断した。当時,被告が山久のような呉服店との間で加盟店契約を締結するに当たって,最も注意を払っていたのは顧客と加盟店が通謀した不正な名義貸しであったところ,山久は,被告の従業員が直接顧客と面談することができる展示会で呉服等の商品を販売する方法を採用していたため,被告の東日本営業開発部は,山久の名義貸しによる不正行為を相当程度防止できると考えた。次いで,被告の加盟店審査に関する第2次的機関であるリスクマネージメント部がリスク管理の側面から東日本営業開発部の報告する資料を検討したところ,同部も山久との加盟店契約の締結に問題がないものと判断した。そこで,被告は,平成11年5月12日,山久との間で加盟店契約を締結した。
エ 被告が山久との間で加盟店契約を締結した当時,山久は,1度の展示会で1億円以上商品を売上げ,展示会には常に多くの顧客が訪れていた。被告は,山久の展示会に被告の従業員を派遣し,その場で顧客と面談して立替払契約の申込みを受けていたが,顧客の支払能力を調査した結果,顧客からの申込みを拒絶することもあった。
オ 被告は,山久と加盟店契約を締結した後,東京支店とリスクマネージメント部において山久が不正な販売方法を行わないように管理する体制を採用していたところ,平成11年6月8日,Kの夫であるFから,山久が本件モニター商法を行っている旨の申立てを受けた。そこで,被告の東京支店は,山久のDに対して電話で本件モニター商法についての確認をしたところ,Dは明確にこれを否定した。また,被告の東京支店が,山久から商品を購入して被告と立替払契約を締結した顧客の中から約30名を無作為に抽出し,電話により,山久との間で売買契約以外に何か特別な約束事がなかったかを確認したところ,実際に話のできた約10名の顧客からは,いずれもそのような約束はない旨の回答を得た。また,被告は,同年7月9日,消費生活センターを訪問して山久に関する相談の確認調査を行ったが,本件モニター商法に関する相談の報告はなかった。
カ 被告は,平成11年7月中旬ころ,山久の商品を購入して被告と立替払契約を締結した顧客から,山久が本件モニター商法を行っている旨の申立てを受けた。被告は,同月21日に帝国データバンクから山久に関する調査報告書を取得し,山久に対しては,次回の展示会への参加を中止する旨の連絡をした。山久は,被告に対して参加の中止は困ると述べ,被告としても本件モニター商法についての確証がなかったことから,被告と山久は,既に予定されていた同月28日の展示会への参加を最後とし,展示会に参加する被告の人員も削減することで合意した。被告は,同月26日に再度消費生活センターを訪問し,山久に関する相談の確認調査を行ったが,本件モニター商法に関する相談の報告はなかった。
キ 被告は,平成11年7月28日の展示会への参加を最後に,山久との間で取引をしていなかったところ,日本消費者協会から山久に関する相談が寄せられている旨の連絡があったため,同年8月4日,同協会を訪問した。被告は,同協会において,山久の顧客が所持していた山久作成のモニター料の記載された書面の写しと,信販会社が顧客あてに発行する立替払の支払明細書の写しを確認した。モニター料の記載された書面には,月々の分割払支払額と同じ額が山久からの支払額として記載されていた。被告は,これらの書面が山久における本件モニター商法の存在を裏付けるものであると判断し,山久との取引を停止することを決め,同月5日,山久に対し,取引の停止を通告した。山久は被告に対して本件モニター商法の存在を否定したが,被告はその後も山久と取引をしていない。
ク 山久は,平成11年7月に分離前相被告株式会社アプラス,同年9月に株式会社クレディセゾンとの間でそれぞれ加盟店契約を締結して本件モニター商法を継続しようとしたが,商品の仕入れ先である丸友に対して商品代金を支払えなくなったことから,丸友の経営が急速に悪化した。そして,丸友が同年11月に山久から商品を引き上げたことを契機として,山久の経営は破綻した。
(2)  山久における本件モニター商法の推移(甲共1,3ないし11,35,乙エ1,証人D,証人L,証人I)
ア 山久は,平成5年ころ,呉服の専門家を養成した上で,その専門家が顧客を勧誘することにより一般の顧客に対する商品販売を拡大することを意図して,本件モニター商法を開始した。モニター会員は信販会社の立替払契約を利用して山久の商品を購入し,それを着用して一般の顧客に対する勧誘活動をしたものの,社会生活における呉服の需要の減少等に伴い,一般の顧客に対する商品販売は山久の思うようには拡大しなかった。そして,山久では,平成7年ころ以降,モニター会員に対する商品の販売数が大幅に増加し,総売上げに占めるモニター会員に対する販売割合は,平成7年ころまでは50%程度であったが,平成10年ころには80%程度に達していた。
イ 平成6年度から平成11年度までの山久の決算状況の概要は,以下のとおりである。
(単位:千円)
決算期 売上高 経常利益
平成7年2月 511,585 24,185
平成8年2月 1,277,641 68,004
平成9年2月 1,603,831 27,789
平成10年2月 2,696,199 22,185
平成11年2月 4,716,049 26,171
平成12年2月 2,953,789 ▲864,486
ウ 被告が山久と取引をしていた平成11年には,山久の展示会に多数の顧客が集まり,1度の展示会で1億円を超える売上げがあった。
(3)  山久の組織(甲共1,3,35,甲231の2の1,乙共5,乙エAcde736の2ないし5(枝番号を含む。),証人D,分離前相原告J,分離前相原告M,分離前相原告N)
ア 山久に勤務する者は,正社員,準社員,モニター会員及びアルバイトに分類されるところ,山久では,代表者であったCのほか,専務と呼ばれた正社員であるD,新宿店の店長であった正社員であるEが大きな力を持っており,山久の経営を取り仕切っていた。
イ 準社員,モニター会員及びアルバイトにはそれぞれ規約が存在し,アルバイトの回数に応じてアルバイトからモニター会員に,モニター会員としての成績に応じてモニター会員から準社員に順次昇格し,モニター会員及び準社員を通算3年以上行い,その貢献を山久が認めた場合には正社員に昇格するというシステムが採用されていた。また,山久は多くのモニター会員との間でモニター契約を締結していたところ,これら多数のモニター会員を300人から600人程度の班に分割して取りまとめていた。この班はブランチと呼ばれ,各班は正社員により統括された。各班の頂点は正社員とされ,その下に主任と呼ばれる準社員,その下にリーダーと呼ばれる準社員,その下に一般のモニター会員が配置された。主任と呼ばれる準社員に対しては,山久から主任料が支払われていた。原告らのうち,原告X4は主任と呼ばれる準社員であったが,その外の原告らは一般のモニター会員である。
(4)  原告らが山久のモニター会員になった経緯(甲Acde70の1,同134の1,2,同291の1,2,同736の1,2,同1134の1,乙エAcde70の1ないし4(枝番号を含む。),同134の1ないし3,同291の1,3,同433の1ないし3,同736の1ないし3(枝番号を含む。),同1134の1ないし4,乙エAcde1258の1ないし3,証人D,分離前相原告J,分離前相原告O,分離前相原告P,分離前相原告Q,分離前相原告R,分離前相原告S,分離前相原告T,分離前相原告U,分離前相原告M,分離前相原告N,分離前相原告V,原告X2,原告X3,原告X4)
山久は,平成5年ころから,「簡単なお仕事です。」などとパートタイマーを募集する新聞の折り込み広告を出すなどして,モニター会員の募集を行っていた。原告らは,新聞の折り込み広告を見たり,山久のモニター会員となった者から紹介を受けたりして,山久を訪れた。山久の担当者は,原告らに対し,「モニター会員になると山久の販売する呉服等を購入してもらうことになるが,呉服等の代金については,原告らが信販会社と立替払契約を締結し,その立替金を支払ってもらう。原告らは,信販会社に対して毎月分割して割賦金を支払う必要があるが,山久とモニター契約を締結することにより,山久がその割賦金相当額をモニター料として支払うから,原告らの支払う割賦金はすべて山久が負担することになる。原告らは実質的に金銭的な負担なく呉服等を取得することができる。また,モニター会員になると,原告らは,山久から購入した呉服等を身につけて1か月に1,2回勤務し,顧客獲得活動の手伝いをすることになる。山久は原告らの活動により宣伝広告費を節約できるから,本件モニター商法は山久にとっても利益がある。」などといった説明をした。その後,原告らは,別紙モニター契約状況一覧表の「モニター契約開始時期」欄記載の年月ころ,山久から呉服等の商品を購入し,信販会社に対して立替払契約を申し込むのと同時に,山久との間でモニター契約を締結した。
(5)  本件各モニター契約の内容等(甲共1,3,甲231の2の1,乙エAcde70の1,4,5(枝番号を含む。),同134の1,3,4,同291の1,3,4,同433の1,3,4(枝番号を含む。),同736の1,3ないし5(枝番号を含む。),同1134の1,4,5(枝番号を含む。),乙エAcde1258の1,3,4,証人D,分離前相原告J,分離前相原告O,分離前相原告P,分離前相原告Q,分離前相原告R,分離前相原告S,分離前相原告T,分離前相原告U,分離前相原告M,分離前相原告N,分離前相原告V,原告X2,原告X3,原告X4)
ア 本件各モニター契約においては,原告らは,山久から商品を購入すると,山久からモニター料として,原告らが本件各立替払契約に基づいて被告に対して支払う割賦金と同額又はそれを若干上回る程度の額を受領できることとされた。
なお,山久は,平成9年ころ以降,モニター会員が実質的に商品代金の半額を負担することで商品を購入することができるという半分モニター制度も始めたが,原告らの中で本件各売買契約に関して半分モニター制度を利用したものは存在しない。
イ 原告らは,山久との間のモニター契約に基づいて1か月に1,2回程度,山久から購入した呉服等の商品を着用するなどして山久の顧客獲得活動の手伝いをすることとされ,山久は,原告らに対し,1回の出勤について5000円程度の活動費を支払うこととされた。
ウ 原告らは,原告X4を除いて,1か月に1,2回程度山久に出勤し,山久の顧客獲得活動の手伝いをしていたが,同業務を行わない場合であっても,山久は上記原告らに対してモニター料を支払った。
原告X4は,主任と呼ばれる山久の準社員として,1か月に10日程度山久に出勤し,モニター会員に対して電話連絡したり,新たなモニター会員を勧誘するなどの業務を行った。また,山久は,展示会を開催するに当たって,各主任に対して全体の販売ノルマを提示し,原告X4は,山久から主任手当として1か月に8万円程度を受領していた。
2  争点(1)(本件各立替払契約の錯誤無効)について
(1)  原告らは,被告が山久における本件モニター商法の存在を知っていたことを前提に,動機の表示があったとして本件各立替払契約の錯誤無効を主張する。
しかし,被告は,平成11年5月12日に山久と取引を開始した後に顧客から本件モニター商法の連絡を受けるやいなや,山久の展示会への参加を中止する旨の連絡をし,同年7月28日の展示会を最後に山久との取引を事実上停止し,同年8月4日に日本消費者協会において本件モニター商法の客観的証拠を確認した後,直ちに山久との取引停止を決め,同月5日に山久に対してその旨を伝えている(上記認定事実1(1)ウないしキ)。上記のように,被告が短期間のうちに迅速に山久との取引を停止した事実に照らすと,被告が山久における本件モニター商法の存在を知っていたとまでは認められない。
したがって,被告は山久における本件モニター商法の存在を知らず,被告に対して動機が表示されていたとは認められないから,動機の表示を前提とした原告らの錯誤無効の主張は採用できない。
(2)  原告らは,山久の販売状況の異常性や,被告の担当者が本件モニター商法の存在を知り得る状況にあったことなどを主張するが,被告が最初から山久の本件モニター商法の存在を知っていながら,あえて,損失を被る可能性の高い山久との取引を始めた理由は見当たらないし,被告が上記のような短期間のうちに山久との取引を停止する理由も見当たらない。また,山久が被告と取引を始めたきっかけが本件モニター商法の存在を知ったオリコから取引を打ち切られたことにあること(上記認定事実1(1)イ)に照らすと,山久が,オリコとの取引が打ち切られた直後に被告に対して本件モニター商法の存在を知らせるはずはなく,かえって,被告が平成11年6月ころに山久の顧客に電話調査を行った際に顧客から本件モニター商法の存在を知らされることがなかったこと(上記認定事実1(1)オ)などに照らすと,山久が本件モニター商法の存在を被告に知らせないようにモニター会員らに対して指導し,原告らも被告に対して本件モニター商法について知らせなかったことが認められる(証人D,分離前相原告R,分離前相原告U,分離前相原告N,分離前相原告V)。上記によれば,原告らの主張は採用できない。
また,原告らは,被告が本件各立替払契約の実質的な立替金債務者が山久であることを知っていたからこそ,原告らの支払能力に関する審査をせずに原告らに対して与信した旨主張するが,被告は,山久の商品を購入する顧客と展示会場で面談し,支払能力を調査した上で立替払契約を締結していたことが認められるのであって,顧客からの立替払契約の申込みを拒絶することもあり(上記認定事実1(1)エ),専業主婦であっても夫の収入等を考慮して与信され得ること(弁論の全趣旨)にも照らすと,原告らの支払能力に関する審査をせずに原告らに対して与信したとは認められない。原告らの主張は採用できない。
3  争点(2)(本件各立替払契約の詐欺取消し)について
原告らは,被告が山久における本件モニター商法の存在を知っていたことを前提に,被告が山久を代理して,又は山久と共謀して原告らを欺罔したことによる本件各立替払契約の詐欺取消しを主張する。
しかし,上記2で認定説示したとおり,被告は山久における本件モニター商法の存在を知らなかったものと認められるから,被告が山久を代理して,又は山久と共謀して原告らを欺罔したとは認められない。
そうすると,山久が原告らを欺罔して本件各立替払契約を締結させたとしても,これは第三者による詐欺(民法96条2項)と解されるところ,被告が本件モニター商法の存在すら知らなかったことによると,被告は山久の欺罔行為を知らなかったものと認められるから,原告らは第三者による詐欺を理由として本件各立替払契約を取り消すことはできない。原告らの主張は採用できない。
4  争点(3)(本件各立替払契約に対する民法93条ただし書の類推適用)について
原告らは,本件各立替払契約の形式的な立替金債務者は原告らであるが,実質的な立替金債務者は山久であって,被告はこのことを知っていた,又は知ることができたとして,民法93条ただし書の類推適用により本件各立替払契約が無効である旨主張する。
しかし,原告らはそれぞれ自ら契約当事者となった上で被告との間で本件各立替払契約を締結しており(前提事実(5)ア),原告らが山久から現金で受領したモニター料を自ら被告の指定口座に振り込んでいたこと(甲231の2の1,分離前相原告J,分離前相原告O,分離前相原告R,分離前相原告M)によると,原告らは本件各立替払契約について自分が当事者として債務を負担することを認識していたものと認められ,本件各立替払契約について表示行為と効果意思との間に不一致を認めることはできない。そうすると,本件各立替払契約については民法93条ただし書を類推適用する前提がないというべきであって,原告らの主張は採用できない。
5  争点(4)(本件各立替払契約の公序良俗違反)について
原告は,本件モニター商法がいわゆるねずみ講類似の構造を内在する反社会的な取引であり,本件各立替払契約が本件モニター商法と不可分一体となっているとして,本件各立替払契約が公序良俗に反し無効である旨主張する。
しかし,本件モニター商法を行っていたのは山久であって被告でなく(前提事実(2)イ),上記2で認定説示したとおり,被告は山久における本件モニター商法の存在を知らなかったものと認められる。そして,山久と原告らとの間の本件各売買契約と被告と原告らとの間の本件各立替払契約が別個の契約であると解されることをも考慮すると,山久の行った本件モニター商法が反社会的な取引であり,山久との本件各モニター契約と密接不可分の関係にある山久との本件各売買契約が公序良俗に違反するものであるとしても,これが直ちに被告との本件各立替払契約の公序良俗違反を基礎付けるものではないし,被告との間の本件各立替払契約の締結自体に反社会性を認めることもできないから,本件各立替払契約が公序良俗に反するということはできない。
したがって,本件各立替払契約が公序良俗に反し無効であるとの原告らの主張は採用できない。
なお,本件モニター商法は,信販会社からの立替払なくしては存在し得ない商法であるといえるけれども,上記認定事実によると,本件においては被告も山久に利用されたものと評価できるから,上記判断を左右しない。
6  争点(5)(本件各立替払契約の善菅注意義務違反による債務不履行解除)について
原告らは,被告が本件各立替払契約又は信義則に基づき原告に対して加盟店管理義務(山久との加盟店契約の締結に当たって山久の経営状態等を調査した上,その後も継続的に山久の経営状態等を調査し続け,原告らに対して損害を与えないようにする義務)を負っていたとして,被告の同義務違反を理由に本件各立替払契約を解除する旨主張する。
立替払契約は,その前提となる売買契約において買主が負う代金支払債務についての立替払を信販会社に委託するという準委任契約であるから,被告は,原告らに対し,善良なる管理者の注意をもって,山久に対する売買代金の支払という準委任事務を処理する義務を負う。しかし,本件各立替払契約が準委任契約であるということから導かれる善管注意義務は,山久に対する立替払についての注意義務である以上,原告らの主張する加盟店管理義務(山久との加盟店契約の締結に当たって山久の経営状態等を調査した上,その後も継続的に山久の経営状態等を調査し続け,原告らに対して損害を与えないようにする義務)が直ちに上記善管注意義務に含まれると解することはできない。本件各立替払契約に基づいて,被告が原告らに対して原告ら主張に係る加盟店管理義務を負うものとは認められない。
また,信販会社との立替払契約は,信販会社にとって,顧客から手数料を取得できるという利益をもたらしているものの,顧客にとっても当面の資金準備がなくても商品を購入できるという利益をもたらしている上,本件各立替払契約が被告の主導により締結されたものではなく,原告らの申込みに基づいて締結されたものであること(上記認定事実1(1)エ,同(4))などによると,信販会社に対してのみ危険責任原理,報償責任原理を安易に適用することはできないし,原告らの主張するとおり,信販会社の立替払契約を利用した取引を所管する監督官庁が,社団法人日本割賦協会会長,社団法人日本クレジット産業協会会長,社団法人日本クレジット産業協会又は社団法人全国信販協会に対して,加盟店の管理についての通達又はガイドラインを示したことは認められるものの(甲共49,50,弁論の全趣旨),これらの通達又はガイドラインは直ちに私法上の義務を基礎付けるものではない。そして,原告らが山久から本件モニター商法の説明を受けた上で,信販会社に対して本件モニター商法の存在を知らせないように指導され(証人D,分離前相原告U,分離前相原告V),実際に被告を含む信販会社に対して本件モニター商法の存在を知らせなかったこと(分離前相原告R,分離前相原告N,分離前相原告V),上記2で認定説示したとおり,被告が山久における本件モニター商法の存在を知らなかったことによると,本件モニター商法に関しては,原告らと比べて被告に豊富な情報があったとは認められない。そうすると,本件において,被告が信義則に基づいて原告らに対して加盟店管理義務を負うと解することはできない。
したがって,被告が加盟店管理義務を負うことを前提とした原告らの債務不履行解除の主張は採用できない。
7  争点(6)(不法行為に基づく損害賠償請求権との相殺)について
原告らは,被告が山久における本件モニター商法の存在を知りながら,又は加盟店管理義務に反して,原告らとの間で本件各立替払契約を締結したとして,被告に対し,不法行為(山久との共同不法行為又は山久の不法行為に対する幇助)に基づく損害賠償請求権を自働債権とし,未払立替金債権を受働債権とする相殺を主張する。
しかし,上記2及び6で認定説示したとおり,被告は山久における本件モニター商法の存在を知らず,原告らに対して加盟店管理義務を負うこともないから,被告が原告らに対して不法行為責任を負うことはない。
したがって,被告が原告らに対して不法行為責任を負うことを前提とする原告らの相殺の主張は採用できない。
8  争点(7)(権利濫用,信義則上の支払拒絶)について
原告らは,被告は原告らに対して加盟店管理義務を負っているし,山久と加盟店契約を締結して山久の信用を作り出した上で,収入の乏しい原告らに対して高額な与信をしたことなどからすると,山久の破綻により発生した不利益は被告が負担すべきであるなどとして,被告の未払立替金の支払請求は権利の濫用であり,原告らは信義則上支払を拒絶できる旨主張する。
しかし,上記6で認定説示したとおり,被告が原告らに対して加盟店管理義務を負うことはない上,本件各立替払契約が被告の主導により締結されたものではなく,原告らの申込みに基づいて締結されたものであること,原告らが山久から本件モニター商法の説明を受けた上で,信販会社に対して本件モニター商法の存在を知らせないように指導され,実際に被告を含む信販会社に対して本件モニター商法の存在を知らせず,被告も本件モニター商法の存在を知らなかったことなどに照らすと,被告の未払立替金の支払請求が権利の濫用であり,原告らが信義則上被告の支払請求を拒絶できると解することはできない。原告らの主張は採用できない。
9  争点(8)(本件各売買契約の錯誤無効)について
原告らは,山久が,原告らと本件各売買契約を締結した当時,客観的にみて破綻必至の状態であり,原告らが将来も確実に山久からモニター料を受領し続けることは不可能な状態であったにもかかわらず,これが可能であると誤信したことは動機の錯誤に該当し,この動機は山久に表示されていたから,本件各売買契約は無効である旨主張する。
(1)  本件各売買契約と本件各モニター契約の不可分性
ア 原告らは,山久から,「原告らは,信販会社に対して毎月分割して立替金を支払う必要があるが,山久とモニター契約を締結することにより,山久が毎月その立替金相当額をモニター料として支払うから,原告らの支払う立替金はすべて山久が負担することになる。原告らは実質的に金銭的な負担なくして呉服等を取得することができる。」などといった説明を受けて,山久との間で本件各売買契約を締結し,同時に本件各モニター契約を締結している(上記認定事実1(4))。そして,原告らが中高年層の婦人であって,定職に就いていないか,定職に就いているとしてもその給与額と比べて極めて高額な商品を山久から次々に購入していること(甲Acde70の1,同134の1,2,同291の1,2,同736の1,2,同1134の1,乙エAcde433の4の2,弁論の全趣旨)に照らすと,原告らは山久がモニター料を支払うことを約束したからこそ本件各売買契約を締結したものと認めるのが相当である。そして,山久が上記の説明をした上で原告らとの間で本件各売買契約と本件各モニター契約を締結していることによると,山久と原告らは,本件各モニター契約と本件各売買契約が密接不可分であるとの共通認識を有し,このことについて口頭で合意していたものと認めるのが相当である。そうすると,本件各売買契約と本件各モニター契約は密接不可分の契約であって,本件各売買契約は,本件各モニター契約付き売買契約ともいうべきものであるから,本件各モニター契約に関する錯誤であっても,本件各売買契約の要素の錯誤に当たり得るというべきである。
イ 被告は,本件各売買契約と本件各モニター契約は別個の契約であるから本件各モニター契約に関する錯誤は本件各売買契約の有効性に影響を与えない旨主張する。
しかし,上記認定によると,山久が上記の説明をしない限り,原告らを含む多くの顧客が次々と自分の収入状況からして不相当といい得る極めて高額な商品を山久から購入するはずがないから,本件各売買契約の契約書や本件各モニター契約の契約書の記載,各契約書の作成時期等にかかわらず,上記のとおり,本件各売買契約と本件各モニター契約が密接不可分であるとの口頭での合意があったものと認めるのが相当である。また,原告X5は,被告とは別の信販会社との立替払契約について半分モニター制度を利用して山久から商品を購入した経験のあることが認められるが(甲Acde1134の1,弁論の全趣旨),半分モニター制度等を利用した売買契約は,山久が過去に締結したモニター契約のモニター料の支払を止められることを恐れるモニター会員の心理等を利用して断れない状況を作り出し,山久の経営状態を改善するために顧客に対して強引に締結させたことがうかがわれるから(甲231の2の1,甲Acde13の1,同788の1,同1134の1,分離前相原告J,分離前相原告O,分離前相原告P,分離前相原告Q,弁論の全趣旨),上記認定を左右しないというべきである。被告の主張は採用できない。
(2)  本件各売買契約締結当時における山久の破綻可能性
ア 本件モニター商法においては,山久は,モニター会員に対し,毎月,モニター料として,モニター会員が信販会社に支払う割賦金額以上の金銭を支払うこととされていたことから(前提事実(2)イ(エ),上記認定事実1(5)ア),モニター会員の購入する商品のみに注目すれば,山久は,信販会社から商品代金(丸友からの仕入価格を控除した金額)を受領しても,最終的にはそれに立替払手数料を加えた額を支出しなければならないのであり,山久にとっては,最終的に損失のみを生み出す取引となる。
そして,山久の決算状況の概要によると,売上高が平成7年以降増加しているにもかかわらず,経常利益は平成8年度以降横ばい状態であり(上記認定事実1(2)イ),山久の総売上げに占めるモニター会員に対する販売割合は,少なくとも被告が山久と取引を開始した平成11年5月12日当時には,80%を超えていたものと認められる(上記認定事実1(2)ア)。これらの事実に照らすと,山久は,遅くとも被告が山久と取引を開始した同日時点で,モニター会員に対する商品の販売により目先の売上げを確保し,信販会社から商品代金を受領することによりモニター料の支払原資を確保するといういわば自転車操業の状況に陥っており,山久は,モニター会員に対する商品の販売を増加することにより一時的な延命を図っていたにすぎないものと認められる。そして,モニター会員に対する商品の販売は,上記のように,山久にとって最終的には損失を生み出す取引であり,その割合が大きくなればなるほどその損失を補うことも難しくなる上,無限にモニター会員を増加させることが現実的には不可能であることに照らすと,山久は,被告と取引を開始した同日時点で,破綻必至の状態にあり,その後山久との間で本件各売買契約を締結した原告らが将来も確実に山久からモニター料を受領し続けることは不可能な状態であったと認めるのが相当である。
イ(ア) 被告は,山久が客観的にみて確実にモニター料の支払ができない状態に達したのは,丸友が商品を引き上げた平成11年11月中旬以降である旨主張する。
確かに,山久の決算状況からすると,平成11年2月期には経常利益が存し(上記認定事実1(2)イ),山久が平成11年10月末まで顧客に対してモニター料を支払っていたことは認められる(前提事実(4)イ)。
しかし,上記9(2)アで認定説示したとおり,少なくとも被告が山久と取引を開始した平成11年5月12日当時には,山久の経営は自転車操業の状況に陥っていたものと認められる上,山久が平成9年ころから半分モニター制度を開始するなど経営の改善努力をしたにもかかわらず(上記認定事実1(5)ア),モニター会員に対する商品販売割合が急増し,経営の改善に失敗したことや,呉服業界全般の売上不振(甲共1,3,43,弁論の全趣旨)などをも考慮すると,山久が同日以降その経営努力により自らの破綻を回避できたものとはおよそ考え難い。そうすると,山久が平成11年10月末まで顧客に対してモニター料を支払っていたことなどを考慮したとしても,上記判断を左右しないというべきである。被告の主張は採用できない。
(イ) なお,被告は,山久の本件モニター商法がその仕組み自体必ず成り立ち得ない商法ではないなどとも主張する。
確かに,山久がモニター会員を教育して呉服の専門家として一般の顧客の勧誘業務を行わせ,それにより一般の顧客に対する売上げが増加するのであれば,山久にとっては,モニター会員の購入する商品では損失を被るが,一般顧客に対する売上げにおいて利益を上げることができるため,一般顧客に対する売上げの増加を目的とし,これが成功する限り,山久が破綻することはない。
しかし,モニター会員は,そもそも1か月に1,2回程度山久の顧客獲得活動の手伝いをすることとされていたにすぎず(上記認定事実1(5)イ),しかも,少なくとも被告が山久と加盟店契約を締結して取引を開始した平成11年5月12日以降,山久がモニター会員に対して呉服の着付け等の教育を行い,呉服の専門家を養成するという活動を行っていたと認めるに足りる証拠はない。そして,モニター会員の中には,実際に山久に出勤することがなくても,山久からモニター料を受領することができた者も存在すること(上記認定事実1(5)ウ)に照らすと,山久がモニター会員の活動を当てにしていたとは認められない。また,上記9(2)イ(ア)で認定説示したとおり,山久が同日以降その経営努力により自らの破綻を回避できたものとはおよそ考え難いことに照らすと,被告の主張は採用できない。
また,被告の提出する公認会計士作成に係る調査報告書等(乙エ6の1,2)には,山久が破綻した原因は丸友の破産による商品の仕入れが止まったことにあり,山久がそれ以前に破綻していたという客観的な事実を確認できなかった旨の記載があるが,丸友が破産したのは山久からの商品代金の支払が止まったからであって(前提事実(3)イ,上記認定事実1(1)ク,甲共12,13),丸友が破産する前から山久の資金繰りが悪化していたことが認められるから,上記調査報告書の記載は採用できない。
(3)  本件各売買契約締結時における原告らの誤信と動機の表示
原告らは,山久から,原告らの支払う割賦金はすべて山久が負担するなどといった説明を受けて,山久との間で本件各売買契約を締結しているから(上記認定事実1(4)),原告らには,当時,本件各立替払契約に基づく割賦金支払終了時まで確実に山久からモニター料の支払を受領し続けることができるものと誤信し,これは山久に対しても表示されていたものと認められる。
(4)  錯誤の要素性
ア 上記(3)の認定説示によると,原告らは山久がモニター料を支払うことを約束したからこそ本件各売買契約を締結したものと認められる。そして,通常人を基準としても,本件モニター商法においてモニター料の支払は本件各売買契約の締結を決めるにあたって重要な要素となるものというべきであるから,原告らのモニター料の支払に関する錯誤は要素の錯誤であると認められる。
イ 被告は,原告らがモニター料の支払がなければ本件各売買契約を締結しなかったとはいえない旨主張するが,上記(1)アで認定説示したとおり,原告らの購入した商品が原告らの収入と対比して非常に高額であることからすれば,被告の主張は採用できない。
(5)  動機の不法性
被告は,原告らが対価性のある労働をすることなく商品を手に入れられると誤信したのであれば,不法な動機というべきであって,原告らを保護する必要がない旨主張する。
確かに,上記(3)の認定説示のとおり,原告らは,山久からモニター料を受領することによって,実質的に金銭的な負担なくして商品を取得することができると誤信したことが認められるが,無償で商品を取得すること自体が直ちに不法であるとはいえない上,本件モニター商法を考案したのが山久であることに照らすと,山久と原告らとの間の本件各売買契約の有効性を検討するに当たって,原告らを保護する必要がないということは相当でない。被告の主張は採用できない。
(6)  原告らの重大な過失
被告は,原告らは山久と2回以上取引をした経験を有し,山久の経営状態について知り得る地位にあったとして,錯誤に陥ったことについて原告らに重大な過失があった旨主張する。
しかし,原告X4を除く原告らは,山久のモニター会員として1か月に1,2回山久に出勤して,山久の顧客獲得活動の手伝いをしていたにすぎず(上記認定事実1(5)ウ),その手伝いの内容が決まっていたことを認めるに足りる証拠はない上,モニター会員は上記手伝いを行わない場合であっても,山久にモニター料を取りに行くと山久からモニター料が支払われたこと(上記認定事実1(5)ウ)によると,上記原告ら及び山久にとっては,商品の購入と毎月のモニター料の支払こそが重要なのであって,山久も上記原告らの活動を当てにしておらず,その活動をすること自体も上記原告らの自由意思に任されていたものと認めるのが相当である。そうすると,このような上記原告らが山久の経営状態を知り得る地位にあったとは認められないというべきである。
また,原告X4は,主任と呼ばれる山久の準社員として,1か月に10日程度山久に出勤し,モニター会員に対して電話連絡したり,モニター会員の勧誘をするなどの業務を行い,山久から展示会での全体の販売ノルマを提示されたりしたことが認められるものの(上記認定事実1(5)ウ),山久から指示を受ける立場にあったにとどまり,山久の経営について直接的又は間接的に関与できる立場であったことを認めるに足りる証拠はない。そうすると,原告X4も,他の原告らと同様,山久の経営状態について知り得る地位にあったとは認められない。
そして,平成11年当時,山久の展示会には多数の顧客が集まり,1度の展示会で1億円を超える売上げがあったこと(上記認定事実1(2)ウ),被告が山久と加盟店契約を締結するに当たって山久について調査した際,被告も山久の資金繰りがひっ迫していないと判断したこと(上記認定事実1(1)ウ),山久が原告らに対して「山久は原告らの活動により宣伝広告費を節約できるから,本件モニター商法は山久にとっても利益がある。」などと一応の説明をしていたこと(上記認定事実1(4))などに照らすと,原告らが山久と2回以上取引をした経験を有すること(甲Acde70の1,同134の1,同291の1,2,同736の1,同1134の1,弁論の全趣旨)を考慮したとしても,錯誤に陥ったことについて原告らに重大な過失があったとは認められない。被告の主張は採用できない。
(7)  小括
したがって,山久が原告らと本件各売買契約を締結した当時に既に客観的にみて破綻必至の状態にあり,原告らが将来も確実に山久からモニター料を受領し続けることは不可能な状態であったにもかかわらず,原告らは,被告との本件各立替払契約に基づく割賦金支払終了時まで確実に山久からモニター料を受領し続けられるものと誤信して,本件各売買契約を締結したものと認められる。そして,原告らの錯誤は要素の錯誤であって,山久に対しても表示されていたことが認められる上,原告らには重大な過失があったものとは認められないから,本件各売買契約は原告らの錯誤により無効であると認めるのが相当である。
そうすると,原告らは,山久に対し,本件各売買契約の無効を主張できるから,本件各売買契約に関して原告らの主張する詐欺取消し(争点(9)),債務不履行解除(争点(10),(12)),公序良俗違反(争点(11)),同時履行の抗弁(争点(12))については判断するまでもない。
10  争点(13)(旧割賦販売法30条の4による抗弁の対抗)について
(1)  被告は,旧割賦販売法30条の4の規定する「販売につき」生じた事由とは,①売買契約について生じた事由,又は②役務の提供が販売の条件になっている場合には,当該役務の提供がなければ購入者が指定商品の購入を行わないと客観的に判断される場合をいうと解されるところ,原告らの主張する抗弁は,これらのいずれにも該当しないから,同条による抗弁の対抗は許されない旨主張する。
しかし,上記9で認定説示したとおり,本件各売買契約と本件各モニター契約は密接不可分の関係にあり,本件各売買契約は本件各モニター契約付き売買契約とみるべきであるから,本件各モニター契約に関する錯誤であっても本件各売買契約の要素の錯誤になるのであって,上記①(売買契約について生じた事由)に該当する。また,原告らは山久がモニター料を支払うことを約束したからこそ本件各売買契約を締結したものとも認められるから,上記②(役務の提供が販売の条件になっている場合には,当該役務の提供がなければ購入者が指定商品の購入を行わないと客観的に判断される場合)にも該当する。被告の主張は採用できない。
(2)  被告は,原告らが山久の従業者であったとして,旧割賦販売法30条の6,8条5号により同法30条の4の適用がない旨主張する。
しかし,旧割賦販売法の立法過程においては,割賦販売法の適用除外例として,共済組合,協同組合,購買会等がその構成員に対して行う割賦販売が挙げられ,会社が従業者の福利厚生のために行う購買会事業は適用除外とされていたこと(甲共51ないし55),旧割賦販売法は購入者等の利益の保護等を目的とするものであること(旧割賦販売法1条1項)などに照らすと,同法8条5号が割賦販売法の適用を除外する「事業者がその従業者に対して行う割賦販売」とは,事業者と従業者との間に利害対立がなく,会社内の従業者の福利厚生のために行う購買会又はそれと同視し得るような場合をいうものと解するのが相当である。そうすると,山久は当面の資金を確保するために自らの利益を考えて本件モニター商法を行っており,モニター会員は自己の名義で信販会社と立替払契約を締結する関係上,山久からのモニター料の支払が停止されるとモニター会員自身が信販会社に対して割賦金の支払をする必要があることなどによると,山久と原告らとの間に利害対立がなかったものとは認められず,本件モニター商法が会社内の従業者の福利厚生のために行う購買会と同視し得るとはいえない。
したがって,原告らの山久との関係を考えても,本件モニター商法が,旧割賦販売法8条5号の規定する「事業者がその従業者に対して行う割賦販売」に該当するとは認められないから,原告らには旧割賦販売法30条の6,8条5号は適用されない。
被告は,同法8条5号の規定する「事業者がその従業者に対して行う割賦販売」について,内部自治の尊重という点を重視して,「従業者」を事業者と雇用契約を締結した者,又は単なる販売者と顧客の関係を超えた者をいうと解した上で,事業者がこれらの者に対して行う割賦販売がすべて同条同号の規定する割賦販売に該当する旨主張する。しかし,会社の内部自治は,同法が目的とする購入者等の利益の保護が図られていること,すなわち,事業者と従業者の利害が対立していないことを前提として尊重されるべきものであるから,上記で認定説示したとおり,同条同号の規定する割賦販売とは,事業者と従業者との間に利害対立がなく,会社内の従業者の福利厚生のために行う購買会又はそれと同視し得るような場合をいうものと解するのが相当であって,被告の主張は採用できない。
(3)  被告は,原告らが被告に対して本件各売買契約の無効を対抗することは信義則に反して許されない,又は,少なくとも5割の範囲で責任を負うべきである旨主張する。
ア 旧割賦販売法30条の4の立法趣旨は,①あっせん業者と販売業者との間には,購入者への商品の販売に関して密接な取引関係が継続的に存在していること,②このような密接な関係が存在しているため,購入者は,割賦販売の場合と同様に,抗弁事由が存する場合には支払請求を拒絶し得ることを期待していること,③あっせん業者は,継続的取引関係を通じて販売業者を監督することができ,また,損失を分散,転嫁する能力を有していること,④他方,購入者等は,一時的に販売業者と接するにすぎず,契約に習熟しておらず,損失負担能力が低い等不利な立場にあること等にあると認められる。上記6で認定説示したとおり,被告は原告らに対して原告らの主張する加盟店管理義務を負うことはない。しかし,上記の立法趣旨に照らすと,原告らの落ち度の存否・程度によっては,被告の山久に対する調査,管理の落ち度を考慮して,原告らの抗弁の対抗が信義則上許されるかどうかについて判断すべきものと解される。
イ 上記9(3)で認定説示したとおり,原告らは,山久の説明に安易に納得し,当初は強制されることもなかったにもかかわらず,実質的に金銭を負担することなく商品を取得できるなどという射幸性に惹かれて本件モニター商法に参加している。そして,上記2で認定説示したとおり,原告らは,被告に対して本件モニター商法の存在を知らせず,本件モニター商法を他人に紹介,勧誘することによって被告と山久との取引を長引かせたともいえる上,原告ら自身が長期にわたって漫然と山久と取引を続けたこと(甲Acde70の1,同134の1,同291の1,同736の1,同1134の1,弁論の全趣旨)に照らすと,原告らには相当程度の落ち度があったものといわざるを得ない。
ウ 被告の落ち度について検討するに,被告は,販売業者からの申込みで加盟店契約を締結することを原則として禁止していたのであるから(上記認定事実1(1)ウ),山久の財務状況を調査するに当たっては慎重を期すべきであったにもかかわらず,同業他社からの山久の風評調査,山久の代表者であったCらとの面談結果,帝国データバンクの調査報告書の評価部分を安易に信用してしまったといわざるを得ない。これは当時リスクマネージメント部でリスク管理の観点から山久の調査を行った被告の担当者Hが,当時の山久の審査について特別の調査をした記憶がなく,全然問題がなかったという認識を持っている旨の証言をしていること(証人H)からもうかがわれる。被告は,東日本営業開発部やリスクマネージメント部に信用調査の専門家を有しているのであるから(証人L,証人H),帝国データバンクが会社の財務審査の専門家であるとしても,その調査報告書から認められる懸念材料,例えば,構造的な呉服販売不振の中で山久のみが売上げを急増させている原因や,売上げが増加しているにもかかわらず経常利益が増加していない原因についてもっと調査すべきであったし,少なくとも山久の決算書を確認すべきであったと考えられる。これらの懸念材料は,モニター商法における特徴といい得るものであって(弁論の全趣旨),被告は山久と取引を開始する前に既に別のモニター商法の事例を経験していたことによると(証人L),被告はモニター商法に関与しないように十分注意すべき責務があったというべきである。
また,被告が山久と加盟店契約を締結して山久の展示会に参加するようになった後,オリコが山久の展示会に現れなくなったことを認識していたにもかかわらず(証人G,証人I),被告は,この同業他社の不参加についてその理由を調査することなく,安易に取引を継続している。被告は,平成11年6月8日にFから山久における本件モニター商法についてかなり具体的な申立てを受けているのであるから(乙エ7,8,9),この段階でオリコに確認するなどしておけば,山久における本件モニター商法について早期に把握できた可能性があるし,仮に,当時,被告とオリコとの間に情報交換をする機会やシステムを有していなかったとしても,過去に信販会社を利用したトラブルが発生していたこと(証人L)に照らすと,被告にも落ち度があったといわざるを得ない。
エ もっとも,原告らは,法律問題に接することが多いとはいえない者らであって(弁論の全趣旨),本件モニター商法を正確に理解していなかったことがうかがわれる上(甲Acde231の2の1,2,分離前相原告J,分離前相原告O,分離前相原告P,分離前相原告Q,分離前相原告R,分離前相原告S,分離前相原告T,分離前相原告U,分離前相原告M,分離前相原告N,分離前相原告V),山久が原告らに対して被告に本件モニター商法の存在を知らせないように指示し(上記2(2)における認定説示),原告らとしても山久からモニター料を受領している以上,山久の指示に背きにくい面があったことも認められる。また,当時の山久の展示会には多数の顧客が集まり,1度の展示会で1億円を超える売上げがあったこと(上記認定事実1(2)ウ)に照らすと,上記のように本件モニター商法についての理解が浅い原告らが長期にわたって山久と取引を継続したことにもやむを得ない面があるというべきである。
これに対し,被告は,必要に応じて山久を調査する能力を有していると考えられるところ,監督官庁からの通達及びガイドラインに照らすと,このような能力を適切に発揮することが期待されていたといえる。そうすると,被告が山久における本件モニター商法の存在を知るやいなや直ちに山久との取引を打ち切ったこと(上記認定事実1(1)ウないしキ)を考慮したとしても,被告が原告らの落ち度を殊更非難することは相当でないというべきである。
オ 以上のような事情に照らすと,原告らが被告に対して本件各売買契約の無効の対抗を主張することをもって,信義則に反するものとして全面的に排除することは相当ではない。
民法上の過失相殺(民法418条,722条2項)の根底には,債権者(被害者)側の事情が損害の発生ないし増大に寄与しているとみられる場合には,債務者(加害者)において負担すべき損害賠償責任の範囲・額の決定において斟酌すること,すなわち,全額を債務者(加害者)の負担とはしない,との利益衡量の規律があると解することができるところ,原告らが被告に対して本件各売買契約の無効を全面的に対抗することができるとすると,上記のとおり,原告らにも相当程度の落ち度があるにもかかわらず,原告らは,被告の負担のもとで山久から本件各売買契約に基づいて商品を受領しこれを利用し得る地位にある一方で,一切の負担をしないこととなる。また,上記ウで認定説示したとおり,原告らが被告に対して本件モニター商法の存在を知らせず,本件モニター商法を他人に紹介,勧誘することによって被告と山久との取引を長引かせ,被告の損失を拡大させたともいえるところ,他方,本件モニター商法を考案したのは山久であり(前提事実(2)イ(ア)ないし(オ)),原告ら及び被告は山久の一時的な延命のために利用されたともいえる。以上の事情を総合して考慮すると,山久から本件各売買契約に基づく商品の引渡しを受けた原告らが被告に対して本件各売買契約の無効の全面的な対抗を主張することは,信義則又は民法上の過失相殺の根底にある利益衡量の規律に照らして,許されないものと解するのが相当である。
カ 原告らのうち,原告X2,原告X3及び原告X4は,山久から本件各売買契約に基づく商品の引渡しを受けていない旨主張するため,上記原告らが商品の引渡しを受けたか否かについて検討する。
(ア) 原告X2について
a 被告は,原告X2は平成11年7月28日に開催された山久の展示会においてコート生地からの仕立てを必要とする呉服用のコートを購入したところ,その場でコート生地の引渡しを受けたというべきであるから,コートの引渡しも受けた旨主張する。
しかし,原告X2は,山久から,同日,コート生地を購入したのではなく,コート生地から仕立てられる完成品としての呉服用コートを購入したものと認められるから(乙エAcde134の1,原告X2本人),完成した呉服用コートの引渡しがあって初めて商品の引渡しがあったものというべきであり,コート生地からの仕立てを依頼した時点で,山久から呉服用コートの引渡しを受けたものとは認められず,被告の主張は採用できない。
b 被告は,原告X2は平成11年9月ころには完成した呉服用コートの引渡しを受けることができたはずであり,原告X2と同時期に山久から同種商品を購入した他の顧客の中で商品の未受領を主張している者が少ないことに照らすと,原告X2は山久から購入した呉服用コートの引渡しを受けたはずである旨主張する。
しかし,被告が山久と取引をしていた平成11年ころには,山久では1度の展示会で1億円を超える売上げがあったこと(上記認定事実1(2)ウ)からすれば,山久から商品を購入した顧客は多数存在したものと認められ,その数の多さから山久の販売業務が混乱していた可能性がある上,原告X2と同時期に山久から購入した同種商品について締結された立替払契約に関し,原告X2の他にも商品の未受領を主張する者が存在すること(乙エ11,弁論の全趣旨)によると,原告X2が山久から購入した呉服用コートの引渡しを受けたとまでは認められない。被告の主張は採用できない。
なお,原告X2は,被告に対し,山久から購入した呉服用コートに関して締結した立替払契約に基づく割賦金を一部支払っていることが認められるが(原告X2,弁論の全趣旨),本件モニター商法において,顧客は山久から受け取ったモニター料を信販会社に支払うことになっていたこと(前提事実(2)イ(エ),上記認定事実(5)ア)に照らすと,上記認定を左右しない。
(イ) 原告X3について
被告は,原告X3は平成11年8月ころにはリングの引渡しを受けることができたはずであり,原告X3と同時期に山久から商品を購入した他の顧客の中で同種商品の未受領を主張している者が少ないこと,原告X3が過去に商品の未受領を主張していなかったことに照らすと,原告X3は山久から購入したリングの引渡しを受けたはずである旨主張する。
しかし,原告X3は平成11年6月13日に開催された山久の展示会においてサイズ直しを必要とするリングを購入したものと認められるところ(乙エAcde291の1,原告X3本人),上記(ア)で認定説示したとおり,当時,山久の販売業務が混乱していた可能性がある上,原告X3と同時期に山久から購入した同種商品について締結された立替払契約に関し,原告X3の他にも商品の未受領を主張する者が存在することが認められる(乙エ11,弁論の全趣旨)。また,原告X3が同年12月15日に被告に到着した書面において立替払金の支払停止を申し出た際に商品の未受領を主張していないことは認められるものの(乙エAcde291の2の1,2),山久が同年11月末に一部のモニター会員に対するモニター料の支払を停止したこと(前提事実(4)イ)によると,原告X3が被告に対して支払停止を申し出た時期は,原告X3にとって,モニター料の支払が停止され被告に対する立替払債務のみが残るという予想もしていなかった状況が突然訪れた時期であって,上記書面も弁護士の説明をそのまま記載したにすぎないものと認められるから(原告X3本人),同書面に商品の未受領の記載がないからといって,原告X3が山久から購入したリングの引渡しを受けたとまでは認められない。被告の主張は採用できない。
なお,原告X3は,被告に対し,山久から購入したリングに関して締結した立替払契約に基づく割賦金を一部支払っていることが認められるが(原告X3,弁論の全趣旨),上記(ア)bで説示したとおり,上記認定を左右しない。
(ウ) 原告X4について
被告は,原告X4は平成11年8月ころには呉服(大島紬)の引渡しを受けることができたはずであり,原告X4と同時期に山久から同種商品を購入した他の顧客の中で商品の未受領を主張している者が少ないことに照らすと,原告X4は山久から購入した呉服(大島紬)の引渡しを受けたはずである旨主張する。
しかし,原告X4は平成11年5月16日に開催された山久の展示会において反物からの仕立てを必要とする呉服(大島紬)を購入したものと認められるところ(乙エAcde736の1の1,原告X4本人),上記(ア)で認定説示したとおり,当時,山久の販売業務が混乱していた可能性がある上,原告X4と同時期に山久から購入した同種商品について締結された立替払契約に関し,原告X4の他にも商品の未受領を主張する者が存在することが認められること(乙エ11,弁論の全趣旨)によると,原告X4が山久から購入した呉服(大島紬)の引渡しを受けたとまでは認められない。被告の主張は採用できない。
なお,原告X4は,被告に対し,山久から購入した呉服(大島紬)に関して締結した立替払契約の立替金を一部支払っていることが認められるが(原告X4,弁論の全趣旨),上記(ア)bで説示したとおり,上記認定を左右しない。
(エ) 小括
以上によれば,原告X2,原告X3及び原告X4は,山久から本件各売買契約に基づく商品の引渡しを受けたものとは認められないから,被告の負担のもとで山久から商品を受領しこれを利用し得る地位にあったとは認められない。そうすると,上記オで説示したとおり,上記原告らが被告の損失拡大に寄与したともいい得ることを考慮したとしても,上記原告らが被告に対して本件各売買契約の無効を全面的に対抗することが,信義則又は民法上の過失相殺の根底にある利益衡量の規律に照らして許されないとはいえないというべきである。
したがって,原告X2,原告X3及び原告X4は,旧割賦販売法30条の4により本件各売買契約の無効の全面的な対抗を主張することができる。
キ 上記オで説示したとおり,山久から本件各売買契約に基づく商品の引渡しを受けた原告らは,信義則又は民法上の過失相殺の根底にある利益衡量の規律に照らして,被告に対し,本件各売買契約の無効の全面的な対抗を主張することはできないと解される。そこで,上記原告らの負担する限度について検討するに,上記イないしエで認定説示したところに加え,本件各立替払契約に基づく別紙契約内容等一覧表「請求額」欄記載の金額には被告の利益となるべき立替払手数料が含まれていること(弁論の全趣旨)をも考慮すると,同表「商品代金」欄記載の金額の4割から同表「支払済額」欄記載の金額を控除した金額を限度とすることをもって相当とすべきである。
そうすると,原告X1については27万7300円,原告X5については68万5315円,原告X6については13万3550円,原告X7については57万4500円,及びこれらに対する反訴状送達の日の翌日である平成14年9月18日から各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金について,信義則等に照らして抗弁の対抗を主張することはできないというべきであって,上記原告らは,上記各金員について,被告に対して本件各立替払契約に基づく支払義務を負う。
もっとも,弁論の全趣旨によると,被告は,平成21年4月1日,会社分割をし,被告承継参加人が被告から反訴請求の訴訟物たる各立替払契約に基づく立替金請求権の全部を承継したことが認められる。したがって,上記原告らは上記各金員に対し被告承継参加人に対して支払義務を負う。ところで,前記のとおり,被告は,原告X1,原告X2,原告X3,原告X4,原告X5及び原告X6の承諾を得て,同各原告との関係で本件訴訟から脱退したが,原告X7からは承諾を得られなかったため,同原告との関係では本件訴訟から脱退していないところ,上記のとおり,被告の反訴請求にかかる立替金請求権は被告承継参加人に承継され被告は同請求権を有していないから,被告の原告X7に対する請求は理由がない。
ク 原告らは,旧割賦販売法30条の4は購入者が信販会社に対して対抗する事由について何ら制限を設けていないから,信義則等により抗弁の対抗を制限することは許されないし,同条の趣旨からして損失の分担を認めることは許されない旨主張する。しかし,信義則又は民法上の過失相殺の根底にある利益衡量の規律は,個別の具体的事情により適用されるものであって,同条が具体的事情における上記信義則等の適用を常に排斥するものであると解することはできない。原告らの主張は採用できない。
また,原告らは,信義則等により抗弁の対抗が制限されることがあるとしても,それは原告らが立替払契約の不正利用により信販会社に損害を与えることを認識しながら積極的にこれに加担するような背信的悪意者の場合のみに限られると主張する。しかし,信義則等は,個々の具体的事情のもとで適用されるものであり,一般的に消費者が背信的悪意である場合のみに限定することは適当でないし,原告らの行為が被告の損失拡大に寄与したともいい得る本件の具体的事情のもとでは,原告らの主張は採用できない。
なお,上記原告らと被告との間の本件各売買契約には,上記原告らが被告に対して本件各立替払契約に基づく支払を終えるまでの間,被告が商品の所有権を留保する旨の特約が付されているから(乙エAcde134の1,同291の1,同736の1の1),上記原告らが山久から購入した商品の所有権は被告にあることが認められる。しかし,本件各売買契約の目的物とされた商品は呉服や貴金属等の動産であって,仕立てやサイズ直しにより原告らの使用に供する物として加工された物はもとより,これらは引渡しを受けて占有することによる利益が大きく,長年の原告らの占有により現在では著しく価値が低下しているものと認められること(分離前相原告U,弁論の全趣旨)によると,原告らが山久から商品の引渡しを受け,それらを占有し続けていたことにより,原告らは商品から相当の利得を得ていたものと認めるのが相当であって,上記原告らにとって本来必要でない商品であったとか,上記原告らには山久の破綻後に返品する意思があったなどの事情が存したとしても,上記結論を左右しない。
そして,上記原告らは,本件各売買契約に関して詐欺取消し(争点(9)),債務不履行解除(争点(10),(12)),公序良俗違反(争点(11))を理由とする抗弁も主張するが,仮にこれらの抗弁事由に理由があるとしても,上記と結論が変わるものではない。
11  争点(15)(旧割賦販売法30条の4に基づく抗弁の対抗の効果等)について
(1)  本訴の主位的請求について
原告らは,被告に対し,主位的に,本件各立替払契約に基づく債務の不存在を確認する訴えを提起しているところ,被告が原告らに対して同債務の履行を求める反訴を提起していることは当裁判所に顕著である。そうすると,原告らの上記主位的訴えは,反訴について判断される以上,確認の利益を喪失したというべきである。
(2)  本訴の予備的請求について
原告らは,被告に対し,予備的に,旧割賦販売法30条の4又は人格権を根拠として,本件各立替払契約に基づく債務の取立禁止を求めている。
しかし,旧割賦販売法30条の4は,信販会社からの支払請求を前提として,これに対する支払拒絶を認めたにすぎないものであって,これを超えて取立禁止を求める権能を付与したと解することはできない。また,被告が原告らの平穏な生活を害することについての具体的事実を認めるに足りる証拠はない。
したがって,原告らは,被告に対し,旧割賦販売法30条の4又は人格権を根拠として,本件各立替払契約に基づく債務の取立禁止を求めることはできない。
12  結論
以上によれば,本訴の主位的請求は,確認の利益が認められないからその訴えをいずれも却下し,本訴の予備的請求は,理由がないからその請求をいずれも棄却することとする。反訴請求(原告X7について)は,前記のとおり被告の割賦金請求権は被告承継参加人に承継されたので理由がないのでいずれもこれを棄却する。参加承継申立てにかかる請求は,その余の点について判断するまでもなく,原告X1に対しては27万7300円,原告X5に対しては68万5315円,原告X6に対しては13万3550円,原告X7に対しては57万4500円,及びこれらに対する反訴状送達の日の翌日である平成14年9月18日から各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるので,これらの限度で認容することとし,その余の参加承継申立にかかる請求は,理由がないのでいずれも棄却することとする。そして,訴訟費用の負担について民訴法61条,64条,65条1項を,仮執行の宣言について同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 佐久間邦夫 裁判官 石原直弥 裁判官 小口五大)

 

別紙
原告代理人目録
佐々木幸孝 〒〈省略〉
江東区〈以下省略〉
電話:〈省略〉 FAX:〈省略〉
瀬戸和宏 〒〈省略〉
新宿区〈以下省略〉
電話:〈省略〉 FAX:〈省略〉
青木秀樹 文京区〈以下省略〉
秋山努 立川市〈以下省略〉
有村佳人 新宿区〈以下省略〉
安藤朝規 千代田区〈以下省略〉
五十嵐康之 千代田区〈以下省略〉
井口多喜男 港区〈以下省略〉
池田利子 杉並区〈以下省略〉
石井麦生 文京区〈以下省略〉
茨木茂 港区〈以下省略〉
岩田修 港区〈以下省略〉
殷勇基 千代田区〈以下省略〉
宇都宮健児 中央区〈以下省略〉
大迫惠美子 杉並区〈以下省略〉
森貴子 港区〈以下省略〉
小川謙司 町田市〈以下省略〉
川口里香 千代田区〈以下省略〉
北久浩 港区〈以下省略〉
木村雅一 八王子市〈以下省略〉
栗原浩 千代田区〈以下省略〉
小林政秀 新宿区〈以下省略〉
犀川千代子 港区〈以下省略〉
齋藤雅弘 新宿区〈以下省略〉
坂勇一郎 港区〈以下省略〉
佐藤淳 武蔵野市〈以下省略〉
佐藤仁志 新宿区〈以下省略〉
鹿士眞由美 中央区〈以下省略〉
清水聡 港区〈以下省略〉
正野嘉人 中央区〈以下省略〉
水津正臣 港区〈以下省略〉
末吉宜子 千代田区〈以下省略〉
鈴木喜久子 千代田区〈以下省略〉
鈴木久彰 中央区〈以下省略〉
鈴木仁史 中央区〈以下省略〉
関口正人 新宿区〈以下省略〉
高木康彦 新宿区〈以下省略〉
高見澤重昭 港区〈以下省略〉
田中博文 新宿区〈以下省略〉
田中富美子 世田谷区〈以下省略〉
谷合周三 千代田区〈以下省略〉
塚田裕二 千代田区〈以下省略〉
遠西昭 中央区〈以下省略〉
戸塚晃 国分寺市〈以下省略〉
冨永忠祐 千代田区〈以下省略〉
鳥居典子 立川市〈以下省略〉
内藤満 中央区〈以下省略〉
仲居康雄 千代田区〈以下省略〉
永井義人 新宿区〈以下省略〉
中村昌典 新宿区〈以下省略〉
花輪弘幸 港区〈以下省略〉
弘中絵里 千代田区〈以下省略〉
蒔田覚 新宿区〈以下省略〉
宮城朗 中央区〈以下省略〉
山岸美佐子 港区〈以下省略〉
山﨑健 千代田区〈以下省略〉
山崎隆 新宿区〈以下省略〉
山西弘子 新宿区〈以下省略〉
山本政明 渋谷区〈以下省略〉
米川長平 港区〈以下省略〉
和田千代 中央区〈以下省略〉
原告復代理人
伊藤敬史 千代田区〈以下省略〉
高橋太郎 千代田区〈以下省略〉
小山裕美 中央区〈以下省略〉
木下尊氏 札幌市〈以下省略〉
小野仁司 横浜市〈以下省略〉
中村誠也 札幌市〈以下省略〉
斎藤正道 札幌市〈以下省略〉
西村歩 札幌市〈以下省略〉
青木豪 札幌市〈以下省略〉
八十島保 札幌市〈以下省略〉
竹之内洋人 札幌市〈以下省略〉
水沼功 札幌市〈以下省略〉
橋本智 札幌市〈以下省略〉
砂子章彦 札幌市〈以下省略〉
杉崎明 横浜市〈以下省略〉
浅井俊雄 札幌市〈以下省略〉
丸尾正美 札幌市〈以下省略〉
道尻豊 札幌市〈以下省略〉
肘井博行 札幌市〈以下省略〉
難波徹基 札幌市〈以下省略〉

〈以下省略〉

 

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